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東京都練馬区の住宅地に立つ集合住宅である。中庭やコモンスペース、バルコニーなどの半屋外空間を多く設け、光と風の通りを良くした。住棟と前面道路の間の植栽は周囲との緩衝帯になり、四季の表情を豊かにする。

 この地に長く住むオーナー向け住戸が3つと、賃貸住戸が15戸ある集合住宅だ。プロジェクトは既存住宅の建て替えとして始まった。空間のクリエーティブディレクターでもあるオーナーの要望は「同じ間取りが並ぶのではなく、利用者が選択する楽しみを持てる個性が際立った住戸づくり」だった。

 設計は、野沢正光建築工房(東京都世田谷区)に依頼した。野沢正光代表は、OMソーラーなどを用いて自然と共生するパッシブデザインに長年取り組んできた。

 ここでは鉄筋コンクリート(RC)造の壁に外断熱を施し、高い躯体性能を確保。それでいて、植栽を含めた周囲の自然環境を住空間に取り込むプランを提案した〔写真1、2〕。

〔写真1〕多様性がある半屋外空間
〔写真1〕多様性がある半屋外空間
地上5階建ての中層部と、地上3階建ての低層部に囲まれた中庭。住戸間の視線は緩やかに遮るも、室内からは四季の風景を楽しめるようにした(写真:傍島 利浩)
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〔写真2〕南側のコモンスペースに開口を設け、光と風の通り道に
〔写真2〕南側のコモンスペースに開口を設け、光と風の通り道に
手すりは風が抜けて緑が見えるように、縦桟のデザインを採用した(写真:傍島 利浩)
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 「半屋外の空隙(くうげき)を織り交ぜ、共用部に視線の抜けや光と風の通り道をつくった」と、設計担当の利光収氏(現在は独立)は説明する。オーナーは利光氏と旧知の仲で、一緒に住戸のスタディーを重ねてきた。