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優れた温熱性能を備えるコーポラティブ方式の集合住宅が誕生した。外付けブラインドによる日射遮蔽と外断熱を標準仕様として、参加者を募集。高性能化に伴うコスト増は防音効果も含めて説明し、参加者の理解を得た。

 外付けブラインドを設けた大きな窓や、奥まった位置にある小窓など、多様な開口が並ぶ。サッシも樹脂製やアルミ樹脂複合タイプなど様々だ。

 9つの住戸が入る分譲集合住宅「MEGUROHAUS」が2020年6月に竣工した。建築設計を手掛けたEAパートナーズ(東京都国立市)の二瓶渉共同代表は、「個々の参加者の要望を反映して設計するコーポラティブ住宅の多様さがにじみ出る外観デザインにした」と話す。

 窓の形や仕様が体現するのは多様性だけではない。設計者は住宅としての快適性や長寿命を確保する手段として、高い温熱性能を備えた建物の実現を目指した(「MORE FOCUS」参照)。窓まわりにはそのための工夫をちりばめている〔写真1〕。

〔写真1〕日射をコントロールする窓仕様
〔写真1〕日射をコントロールする窓仕様
南側から見たMEGUROHAUS。JR目黒駅から徒歩7分という利便性の高い立地だ。日射量を勘案し、南面の大きな窓に外付けブラインドを設けた(写真:浅田 美浩)
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 特に重視したのが、夏の日射対策だ。3Dモデルで8月の日射を検証したところ、南面のほぼ全体と西面上階に大きな熱負荷がかかる〔図1〕。そこで開放的な大きな窓を配した南面には、集合住宅では珍しい外付けブラインドを設けて、日射取得量を4割に低減した。主な窓は内窓がある二重窓にしている〔写真2〕。耐力壁を設ける東西面は窓を極力減らした。

〔図1〕8月は西面と南面の日射取得が多い
〔図1〕8月は西面と南面の日射取得が多い
立地と周辺の建物条件を基に、3Dモデルによる8月の日射取得シミュレーションを実施した。午後の西面上階や昼前の南面の熱負荷が大きいことが分かる(資料:EAパートナーズ)
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〔写真2〕南面に大きな開口を確保
〔写真2〕南面に大きな開口を確保
3~4階のメゾネット住戸。蓄熱するコンクリート躯体を露出させ、室温の変化を緩やかにする効果を狙った。床などに東京産スギ材を使用。いずれの住戸も南面に大きな開口を設けている(写真:浅田 美浩)
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 この他、150mm厚のポリスチレンフォームを外断熱材として、鉄筋コンクリート(RC)造の外壁に施した。外壁の断熱性は省エネルギー基準相当の集合住宅の約5倍に当たるという。奥まった小窓は、外断熱の厚さを反映している。