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植木鉢を載せたような長屋が完成した。ボールトが連続する鉄筋コンクリートのスラブが特徴で、円弧の上に土を充填して植栽した。経年とともに植物が茂り、建物が周辺環境の緑に溶け込むことを狙っている。

 東京都練馬区の自然豊かな住宅街で、石神井公園に面する場所に「鶴岡邸」は立つ。もともとこの地でレストランを営んでいた建て主は、「住み手に対してはもちろんのこと、周辺の鳥や生き物が集まるような環境や建物をつくること」を望んだ。加えて、「キノコのような形をした建物がいい」という願いも添えて設計を依頼した。

 要望を受けた武田清明設計事務所(東京都練馬区)の武田清明代表は、緑化に適した「小さな植木鉢が連なったスラブ」を提案した。

 ボールトスラブは、直径2.7m、1.8m、0.9mと、3種類の半円を連続させた構成だ〔写真1〕。スラブ上には土を充填して緑化し、鳥や動植物と共生するための庭とした。スラブを露出させた室内では天井高に変化が生まれ、空間に抑揚をもたらしている。

〔写真1〕経年とともに植物で覆われる構成
〔写真1〕経年とともに植物で覆われる構成
スラブをボールト形状とすることで、土壌を入れる懐の深さにバリエーションを持たせ、中低木など多種の植栽に対応できるようにした。潅水(かんすい)設備に雨水センサーを付け、潅水時の水量調節を自動で行う。コンクリートは遅延硬化シートを用いた洗い出しとし、自然になじむ表情とした(写真:安川 千秋)
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 構造設計者のASA(東京都世田谷区)鈴木啓代表は「ボールトスラブは、床荷重を鉛直力として支持するには合理的。連続するボールトは重量のある人工地盤に向く」と言う。