急斜面に立つ3階建ての住宅だ。平地面積が限られる中、崖側に大きく跳ね出す形状によって駐車スペースを確保。3層のボリュームをずらして重ねることで広いデッキを設け、階ごとの眺望にも変化をつけた。
「滝山の住居」は、兵庫県東南部に位置する川西市の高台に立つ。細長い箱形のボリュームを、扇を少しずつ広げるようにずらしながら3層積み重ねた構成で、各階が崖側に張り出している〔写真1〕。
この住宅は、夫婦と息子、祖母の3世代4人が適度な距離感を持って暮らせるよう、各世代のプライベートな空間を階ごとに分けて計画した。
高齢の祖母の寝室と水回り、エントランスを道路レベルの2階に、ワンルームのリビング・ダイニング・キッチンと夫婦の寝室を3階に配置。社会人の息子の寝室は、外部階段を介して離れとする1階に配置した。
設計はタトアーキテクツ/島田陽建築設計事務所(神戸市中央区)が手掛けた。同社の島田陽代表は、道路側から崖側に向かって幅が広くなる敷地形状から、角度の広い眺望が得られる点に着目。「各階のボリュームをずらすことで、階ごとに異なる景色が開けることを意図した」と説明する〔図1〕。