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築25年の鉄筋コンクリート(RC)造住宅の改修だ。地上3階建てで、個室に区切られていた2階を開放的なリビングとダイニング・キッチンに変更した。中庭に面する開口部に曲面ガラスを新設し、内外をつなげた。

 東京都新宿区下落合の閑静な住宅地に立つ家である。元は、ある建築家が自宅兼事務所として設計した建物だ。そこを夫婦と子ども2人が暮らす家としてリノベーションした。

 建て主は不動産情報サイトで、この物件を見つけた。コンクリート打ち放しの外観や、中庭に立つ大きなけやきの木が気に入り、購入。改修設計を、納谷学氏と納谷新氏が共同主宰し、これまで数多くのリノベーションを手掛けてきた納谷建築設計事務所(川崎市)に依頼した。

RC壁式構造の閉鎖感を払う

 建て主が納谷事務所を選んだのは、同社が過去に手掛けた、ガラス張りの階段室から家中に光を採り入れる木造戸建て住宅の改修を見たからだ。そのイメージを基に、この家では個室に区切って使われていた2階を、リビングとダイニング・キッチン、玄関がひとつながりになった開放的な空間に変えることにした〔写真1~3〕。

〔写真1〕家族の様子が見えるワンルームに
〔写真1〕家族の様子が見えるワンルームに
2階リビングからダイニング・キッチンを見通す。左手の中庭を囲む開口部の既存サッシは撤去し、角部分を大型の曲面ガラスに改修(写真:浅田 美浩)
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〔写真2〕サッシを撤去し、開口部を拡大
〔写真2〕サッシを撤去し、開口部を拡大
解体直後の2階の状態。中央奥が中庭の吹き抜け。階段の改修のため、床スラブと天井スラブの開口をはつって広げ、右手の寝室に続く壁の開口部は幅を約1300mmほど広げた(写真:浅田 美浩)
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〔写真3〕区切って使われていた2階
〔写真3〕区切って使われていた2階
改修前の2階の様子。手前のダイニングと左手のリビングは建具で仕切れるようになっていた。右手は寝室(写真:浅田 美浩)
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 「今回は木造在来工法よりも間取り変更の自由度が低い、RC壁式構造の家だった。既存建築の特徴を生かしながら、建て主が望む採光や空間のつながりをいかに生み出すかを考えた」。納谷新代表はそう語る。

 敷地には、1層分の高低差がある。北側道路に面した2階を家族が集まる場所とし、東側路地に面した1階に寝室や家事室、浴室をまとめた。

 2階の間仕切り壁や建具は撤去し、既存のダイニング・キッチンと寝室の間のRC壁は、構造に影響しない引き戸の収納部をはつり、開口部の幅を以前より約1300mm広げた。

 だが空間の中央にある壁柱は構造上、抜くことができない。視線を妨げる。そこで、L字型に中庭を囲んでいた開口部に着目した。

 既存のサッシは全て無くし、角に大型の曲面ガラスを入れた〔写真4〕。入隅部分は室内化し、鉄骨下地の上にラワン合板で窓台を設けた。これでリビングとダイニング・キッチンの間を視線が抜けて、家族の様子が分かるようになった。同時に、室内と中庭の一体感が増した。曲面ガラス部分の費用は、サッシ枠とガラスを合わせて、150万円ほどである。

〔写真4〕中庭のけやきを取り囲むような曲面ガラス窓
〔写真4〕中庭のけやきを取り囲むような曲面ガラス窓
けやきの大木がある中庭から見る。2階のサッシとスギ板張りの外壁仕上げを新設した。2階の曲面ガラス設置で室内化した入隅部分が、1階出入り口の庇になっている(写真:浅田 美浩)
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