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まるで自然の林や渓谷のような中庭を持つコーポラティブハウスだ。地下1階のドライエリアから、1階中庭、2階レベルのブリッジと、中庭を立体的に構築することで、どの住戸からも身近に緑を感じられる住環境を目指した。

 東京都内の住宅地に立つ「COURT HOUSE 自由が丘」は、地下1階・地上3階建て、12戸から成るコーポラティブハウスだ。

 草花が風にそよぐ前庭に迎えられてエントランスを入ると、緑豊かな中庭に出る。通路の両脇には木々が植えられ、通路上部に架け渡された屋根“中庭ブリッジ”も植栽されている。住人は木々の間を抜けて共用階段や住戸へアプローチする〔写真12〕。

〔写真1〕立体的な中庭空間
〔写真1〕立体的な中庭空間
1階中庭。地下1階のドライエリアから2階レベルの中庭ブリッジまで立体的に植栽が連続する。中庭通路の下部には、雨水ピットが設けられている(写真:吉田 誠)
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〔写真2〕地域に緑を提供する前庭
〔写真2〕地域に緑を提供する前庭
南側外観。道路に面した前庭には、四季を通して変化する多年草を混植し、「野原のような庭」をつくった。ピロティを介して、中庭へと緩やかに空間がつながる(写真:吉田 誠)
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 設計を担当した奥野公章建築設計室(東京都目黒区)は、執務室内に木々を植えた森のようなオフィスなど、以前から植栽と空間が一体となった建築を手掛けてきた。代表の奥野公章氏は、「立体的に中庭をつくることで、どの階の住戸からも四季の植物を楽しむことができ、さらに採光や通風など快適な住環境を提供することを目指した」と語る。

 敷地は、南面接道の整形という好条件だが、第1種低層住居専用地域のため建蔽率は60%だ。そこで、建蔽率、容積率は最大限使いつつ、建物が立てられない敷地の40%を積極的に植栽に生かす計画とした。

 前庭、中庭、ブリッジの3つの見せ場で植栽の種類に変化を付けつつ、敷地全体で、約150種類、2000株以上の樹木や植物を配置した。

 中庭の大きさは11m×12m。その周囲にロの字形に建物を配置した。住戸は、基本的にワンフロアを4戸とし各戸をL字プランで構成することで、すべての住戸を中庭に面した角部屋としている。

 また、閉じた中庭は風が抜けにくいため、南側の1階部分をピロティにして駐輪場として活用。風の抜ける道をつくり、各住戸の通風や植物の生育に寄与できるよう配慮した。