2018年の建築基準法改正から約4年。木造防耐火設計の選択肢は広がったが、設計者の理解は進まない。要因は、「耐火同等建築物」「火災時倒壊防止建築物」といった耳慣れない言葉が盛り込まれた点にある。それらを読み解く糸口は「準耐火構造」。防耐火の理解に向けてクイズから始めよう。
QUIZ
木造の「準耐火構造」で耐火建築物をつくることはできる?
冒頭のクイズの答えは「YES」である。設計者の中には、「準耐火構造で設計できる建物は、準耐火建築物に限られるのではないか?」といった疑問や戸惑いを抱く人がいるかもしれない。しかし、一定の条件を満たせば、主要構造部が「準耐火構造」の木造の耐火建築物をつくることができる。厳密には耐火建築物とは言い切れず、「耐火建築物と同等性能の建築物(以下、耐火同等建築物)」という位置付けになる。
耐火同等建築物という新しい“ジャンル”は、2018年6月の建築基準法改正を機に、表舞台に現れた。耐火建築物としなければならない建物のうち、一定の用途や規模であれば木造の準耐火構造でもつくれる設計手法が複数定められた。耐火建築物と同じ耐火性能を持つものと見なすが、所定の設計方法に基づく耐火建築物ではないため、耐火同等建築物という耳慣れない言葉で、それらがくくられている。