建設会社や設計事務所が、自社の設計オフィスの改革に乗り出している。電子化を進めて個人スペースを縮小、共有空間を拡充して生産性向上につなげる。センサーを用いた効果測定もトレンドになりつつある。
CASE1 竹中工務店│御堂ビルイノベーションスペース整備計画
共有空間重視で対話時間が1.5倍に
足掛け5年の全面的なオフィスリニューアルが完了して約1年。その効果が、検証データから明らかになってきた。生産性などが向上した一方、設計の意図と実際の運用にズレがある部分も判明。今後、継続して改善していく。
築50年超のオフィスビルに入る竹中工務店の本社・大阪本店が大きく生まれ変わった。コミュニケーションを促すために、6層に分かれた執務スペースを直接つなぐ内部階段を新設。各階の階段のまわりを中心に、社員の情報共有や新しい発想につながる拠点をつくった〔写真1〕。執務スペースでも、生産性の向上や働き方改革などを重視し、大胆にレイアウトを刷新した。
このビルは、大阪都心部を南北に貫く御堂筋に面して立つ「御堂ビル」〔写真2〕。同社の設計・施工で1965年に完成した。鉄骨鉄筋コンクリート造の地上9階建て。建物は、南北約80m、東西約40mの長方形で、中央のコア部分を囲む外周にロの字形に執務スペースがある。ビルの大半に同社がテナントとして入居しており、約1500人が勤務する。