全2175文字
PR

持続的な有機農業の場を、「食」の要素を持つ体験型の公開施設とする。数々のヒット曲を生んだ音楽プロデューサー・小林武史氏の思いを具現化するため、新「農場」のマスタープランづくりから建築家が協働した。

 「産業やエネルギーの将来の姿をどう考えるか。今回のプロジェクトの性格に興味があったし、共感した」と、フジワラテッペイアーキテクツラボ(以下フジワラボ)主宰の藤原徹平氏は語る。

 2019年11月に千葉県木更津市に「食」と「農」をテーマとする複合施設「KURKKU FIELDSクルックフィールズ」が開業した。フジワラボは、マスタープランと主要施設の設計を手掛けている。

[画像のクリックで拡大表示]

 藤原氏は、17年と19年に宮城県石巻市や牡鹿半島で開催された芸術祭「Reborn-Art Festivalリボーンアートフェスティバル」を機に、音楽プロデューサーの小林武史氏と協働を始めた。「非日常の祭を提供する以外に、震災復興後の地域の在り方や、平時にどんな暮らしを営むかを考えてきた。小林さんの描くビジョンの中で『食』、要するに『農』が中心になっていった」(藤原氏)

 Reborn-Art Festivalと並行して進められたKURKKU FIELDSは、小林氏が代表を務める農地所有適格法人「耕す」の有機農場を基盤としたものだ。10年から運営するJAS(日本農林規格)認証を受けた有機栽培農場や養鶏場などに追加し、モッツァレラチーズ製造のための水牛舎、山羊や乳牛の放牧場、エディブルフラワー(食用花)の菜園などを整備。さらに、ダイニング/ベーカリー、ケーキ工場およびショップ、シャルキュトリー(食肉加工・販売)といった「食」の要素となる店舗群を新設し、体験型施設として営業している〔写真12〕。

〔写真1〕店舗それぞれに個性を
〔写真1〕店舗それぞれに個性を
写真左手はダイニング/ベーカリー棟。異なる要素の大小のボリュームが寄り集まった構成。右手はシャルキュトリー(食肉加工・販売)棟。入場ゲートに近いため、人が滞留できる大庇のある空間としている(写真:山本育憲)
[画像のクリックで拡大表示]
〔写真2〕多方向・多中心の集客施設
〔写真2〕多方向・多中心の集客施設
核になるダイニング/ベーカリー棟は、敷地の勾配をそのまま生かして諸機能を配置。中庭を中心に多方向に開かれた空間と動線を持ち、様々な使い方を受け入れる。右手はベーカリーの入り口(写真:山本育憲)
[画像のクリックで拡大表示]

 生産・収穫した食材は各店舗で加工・提供するほか、一般の市場へも供給する。また、発電出力2000kWのソーラーパネルや敷地を活用したバイオジオフィルター(自然浄化システム)、堆肥をつくる大型発酵プラントなどを持ち、都市インフラに依存しない循環型施設を強く志向する。

この記事は有料会員限定です

「日経アーキテクチュア」定期購読者もログインしてお読みいただけます。

日経クロステック有料会員になると…

専門雑誌8誌の記事が読み放題
注目テーマのデジタルムックが読める
雑誌PDFを月100pダウンロード

日経電子版セット今なら2カ月無料