防火・避難関係規定を大幅に見直した改正建築基準法施行令と、それにひも付く告示が4月1日に施行された。設計時の選択肢が格段に増える。防災計画などに携わる実務者の見方を交えつつ、ポイントを解説する。
4月1日施行の改正建築基準法施行令では、区画の合理化や内装制限の適用除外、直通階段・排煙設備の設置基準の見直しなど、多岐にわたる変更点が盛り込まれた。
なかでも注目されるのは、避難安全検証法の見直し。確認申請手続きによる「ルートB」を拡充し、建築計画の柔軟性を高める狙いだ。小規模建築物などのストック活用を促すため、内装制限適用除外の代替措置を追加。耐火構造を求める無窓居室の範囲も見直しが図られた。
一連の改正は、防火・避難規定全般の性能規定化推進を目的に進められてきた「防火・避難規定等に関する総合技術開発プロジェクト」の成果を踏まえたものだ。改正によって使えなくなる現行要件はない。
設計の自由度が高まる一方で、設計実務者の責任範囲は拡大する。防災計画などに携わる実務者は、「複数の選択肢を検証したうえで、最適とする提案の根拠を発注者に示し、理解を得る必要がある」「検証結果を蓄積していくための体制づくりも欠かせない」と、口をそろえる。
次ページからは、改正施行令と告示のポイントを見ていこう。