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避難❶
区画避難安全検証法

(イラスト:宮沢 洋)
(イラスト:宮沢 洋)

 建基法施行令の改正で避難安全検証法が見直され、「区画避難安全検証法」が新たに加わった。空間の木質化の後押しが狙いの1つだ。

 避難安全性が確認できれば、区画部分の排煙設備と内装制限の規定が適用除外になる。新築時の設計の自由度が高まる他、改修にもより柔軟に対応できる。設計者に加え、施設所有者のメリットも大きい。

 内装制限では例えば、ワンフロアが大規模化し、複合する用途も多様化する傾向にある大規模ビルなどで、1区画だけを木の内装にすることも容易だ。これまでは、階全体を対象に検証する必要があった。

 排煙設備については、同一階で100m2超の空間部分だけを区画避難安全検証法、その他の部分を既存の告示仕様とすることも可能になる。これまでは小規模な会議室が多いオフィスビルなどに1部屋でも100m2超の空間をつくる必要が生じれば、ビル全体で排煙設備がなくせないケースなどがあった。

 大成建設設計本部法規計画室の林広明シニア・エンジニアは、「排煙設備がもともと不要な工場などに事務所を設けたいという改修プロジェクトなども含め、使い道は多そうだ」と話す。その他、テナントの入れ替えなどにも対応しやすくなる。

準耐火の壁や防火設備で区画

 4月1日施行の改正施行令で定めた区画の際の条件は、次の通り〔図1〕。複数階にわたらないことが前提で、45分準耐火構造の床や壁、20分防火設備のいずれかで区画すること。ただし、区画部分以外にいる在館者は、区画部分を通らずに避難できるよう計画する必要がある。

〔図1〕排煙設備と内装制限の規定が適用除外に
〔図1〕排煙設備と内装制限の規定が適用除外に
「区画避難安全検証法」を使う場合の主な前提条件。避難安全性が示せれば、排煙設備と内装制限の規定が適用除外になる。木を生かした内装デザインや改修がしやすくなった(資料:大林組の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 これらの前提条件を満たしていることを確認した後は、大きく2段階で検証する。まずは対象とした区画内の各居室で火災が発生した場合を想定し、それぞれの居室から区画内の廊下までの安全性を検証。その後、区画内の廊下から区画外に出るまでの安全性を確認する〔図2〕。

〔図2〕検証の手順は階避難と同じ
〔図2〕検証の手順は階避難と同じ
区画避難安全検証法の主な手順。区画部分にある居室と避難経路(廊下)の避難安全性をそれぞれ順に確認する。検証の流れは、階避難安全検証法と同様だ(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 避難安全検証法では、検証単位の新設と併せて、新たに判定方法も追加された。これについては、次ページで解説する。