国土交通省が主導する3D都市モデルの整備プロジェクト「Project PLATEAU(プラトー)」が街づくりを変えるかもしれない。建築業界に与える影響は大きい。PLATEAUを推進する国交省に話を聞いた。
Project PLATEAUが3月26日に本格始動した。公募に応じた全国56都市の3D都市モデルが整備されたのだ〔図1〕。まず東京23区の3D都市モデルが公式のWebサイト(https://www.mlit.go.jp/plateau/)で公開された。整備したデータは、一般社団法人の社会基盤情報流通推進協議会が運用する「G空間情報センター」から順次ダウンロードできるようになる。オープンデータなので、誰でも自由に使える。
そもそも、PLATEAUとは何か。国交省都市局都市政策課の内山裕弥課長補佐に尋ねた〔写真1〕。一言で言えば、地図上の建物などに「意味」を持たせて、都市を構成する要素を3Dで表現しながら識別できるようにしたものだ。都市のデジタルツインなどを、手間なく正確に作成できる。
理解を深めるため、図2を見てほしい。左は米グーグルの地図サービス「Google Earth(グーグルアース)」の画面。右はPLATEAUの画面である。どちらも東京駅付近の地図で、色味以外に違いは感じられない。
だが地図の「裏側」に隠れた情報は全く違う。Google Earthは都市の形状を再現した「幾何形状(ジオメトリー)モデル」だ〔図3〕。一般的な3D地図は通常、ジオメトリーである。
PLATEAUはジオメトリーに「セマンティック(意味論)モデル」を統合した。建物や街路などを定義し、用途や高さといった情報を加える〔図4〕。すると建物1つひとつを区別できる。
内山氏は「ジオメトリーの地図は見た目は3Dでも、建物の形をポリゴンで再現しただけ。建物の高さが正確なわけではない。PLATEAUには建物の意味情報が入っており、例えば高さは正確。地図の利用範囲が広がり、特に防災には役立つ。国交省が主導する理由はそこだ」と説明する。
「CityGML」で意味を持たせる
地図に意味情報を持たせるため、「CityGML」という記述言語を使う。タグで情報を埋め込む。国交省がCityGMLを採用したのは、地理空間情報の国際標準化団体「OGC」が策定した規格だからだ。CityGMLで記述すると、「コンピューターが地図を読めるようになる」(内山氏)。