京都市は、中心部の小学校の跡地で、民間事業者による有効利用を進めている。その先陣となるホテルが2件オープンした。いずれも既存校舎は地域のシンボルだ。貴重な近代建築をホテルの特徴や魅力に生かしている。
立誠ガーデン ヒューリック京都(京都市中京区)
地域活動と共存するホテルの在り方示す
繁華街の四条河原町の近くにある元立誠小学校の跡地を、ホテルを中心とする複合施設に転用。地元住民の要望に応えて既存校舎をできるだけ残しつつ、敷地内での高さ制限の違いを生かして増築棟を配した。
「立誠ガーデン ヒューリック京都」は、「ザ・ゲートホテル京都高瀬川」を中心とする複合施設だ。1993年に閉校した立誠小学校の旧校舎は、京都市内に現存する鉄筋コンクリート造の校舎では最も古い。その既存校舎の裏手を解体し、高瀬川から離れた敷地の西側に8階建ての別棟を増築。また、敷地を囲っていた塀を取り払い、旧グラウンドを広場として開放している〔写真1~3〕。
この学校跡地の活用事業者であるヒューリックは、2016~17年のプロポーザルで13社から選ばれ、市と60年間、年額約1億5592万円の賃料で定期借地権設定契約を結んだ。同社開発事業第二部副部長の長根潤氏は、「当社は京都に観光アセットがなかった。ここは繁華街に近い一方、高瀬川沿いで憩いの雰囲気もあり、立地が良い。学校だった歴史も面白い」と応募の理由を語る。