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世界遺産の一部である富岡製糸場で、国宝「西置繭所」の保存修理が完了した。1階内部にガラス箱のようなハウス・イン・ハウスを導入。明治初期の「木骨レンガ造」をそのままに、耐震性を向上させてギャラリーやホールなどの利用空間を確保した。

 「西置繭所(にしおきまゆしょ)」は、富岡製糸場(群馬県富岡市)の正門から見て最も奥まった、敷地西側に位置する。2015年以来、素屋根に覆われていたが、ようやく姿を現した。20年10月4日にグランドオープンした〔写真1〕。

〔写真1〕100m超の長大な姿がお目見え
〔写真1〕100m超の長大な姿がお目見え
東側から見た西置繭所の外観。レンガ壁と多数の窓が特徴的だ。繭を乾燥させるため、窓で通風を確保していた。今回の改修では瓦をいったん下ろし、ふき土を落として改めて乾式工法でふき直すことで、屋根の軽量化も図った他、修繕も実施した(写真:吉田 誠)
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 建物はベランダを備えたレンガ造りに和風の切妻屋根を架けた、和洋折衷の2階建て。高さ約14.8m、長さ(桁行)約104.4m、奥行き(梁間)12.3mで、構造は木の柱・梁とレンガ壁から成る「木骨レンガ造」だ。

 富岡製糸場が創設された1872年、まず完成したのがこの建物を含む東西2棟の「貯繭(ちょけん)施設」と、繰糸所(そうしじょ)だ。原料となるカイコの繭を大量保管し、通年操業を可能とした。

 施設は官営として設置された後、民間に払い下げられ、時代変化を受けて1987年に操業停止。2005年に富岡市へ寄贈された。文化庁は同年、敷地約5万5000m2を国の史跡に指定、翌06年には明治初期の建造物群を重要文化財に指定した。

 世界遺産として「富岡製糸場と絹産業遺産群」が登録された14年、文化庁は繰糸所と2棟の貯繭施設を国宝に格上げしている。これまで西置繭所の内部は一般公開しておらず、見学できない状態だった〔写真2〕。

〔写真2〕世界遺産登録で再注目
〔写真2〕世界遺産登録で再注目
富岡製糸場の正門。奥のレンガ建築が東置繭所だ。2014年に世界遺産登録されて再び注目を浴び、14年度は年間130万人超の見学者が訪れた(写真:池谷 和浩)
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 現在の所有者である富岡市は、富岡製糸場を観光政策の中心と位置付け、一方で「活用には防災改修が必須」とする整備活用計画を12年に作成、事業を進めている。今回の西置繭所保存修理プロジェクトは30年間に及ぶ整備計画の初弾だ。