名古屋の象徴といえる久屋大通公園の改修事業が完了し、9月にオープンした。求められたのは、歴史性や公園の機能を維持しつつ、にぎわいを生む場。公募設置管理制度(Park-PFI)活用では国内最大であり、今後の公園活用の試金石となる。名古屋テレビ塔も免震化して一部をホテルに転用。新たな一歩を踏み出した。
子どもたちが芝生で遊び、カフェやショップは多くの人でにぎわう──。公募設置管理制度(Park-PFI)の活用事業として国内最大規模となる「Hisaya-odori Park(ヒサヤオオドオリパーク)」(名古屋市)が9月18日にオープンした。対象地は久屋大通公園のうち北エリア・テレビ塔エリアと呼ばれる部分。南北に延びる約900m、広さ約5万4000m2の規模だ〔写真1〕。24棟の商業施設が建ち、飲食や物販などの35店舗が入居する。
建蔽率緩和と10年延長
改修前の久屋大通公園は供用開始から40年以上が経過し、老朽化が進んでいた〔写真2〕。名古屋市住宅都市局都心まちづくり課の猪俣佳江・事業推進係長は、「維持管理を続けることが困難だった上、バリアフリー化も急務だった。再整備するには市の財政が厳しく、民間活用の方法を模索した」と振り返る。
市は、2017年に都市公園法の改正で創設されたPark-PFI制度と、指定管理者制度を組み合わせることとした。Park-PFI制度では、民間事業者が公園施設の整備と、飲食や物販などの収益施設の整備・運営を担う。整備後の公園は市に譲渡する。公園の整備費は主に市が持ち、収益還元で事業者も一部負担する。
これまで2%とされていた公園の建蔽率を最大10%上乗せでき、設置管理許可期間を最長10年から最長20年へと延ばせる特例がある。
市は17年10月に民間事業者の公募を始め、三井不動産を代表とするチームを18年2月に選定した。指定管理者も三井不動産とし、公園と収益施設を一体的に運営・管理できる体制とした。
公園設計は日建設計と大成建設、建築設計と施工は大成建設が担当。18年3月から設計を始め、19年1月に着工した。公園整備費は約30億円。事業期間は38年2月末までで、終了時期になると三井不動産が収益施設を解体する予定だ。