全311文字

 建築は経験工学であり、設計する人、施工する人の経験の積み重ねが、より良い建物につながっていると思う。私自身、若い頃は毎日、昼間は現場に出て、夜に現場事務所で施工図を書きながら、先輩方から様々なことを教わった。それらを通じて、細かい納まりにもこだわって検討することを身に付けられた。

 今は働き方改革で残業時間が制限されて、現場へ出る時間も、先輩からじっくりと話を聞く機会も少なくなった。技術者としての知識はあっても、経験しないと身に付けられない勘所のようなものをどうやって得るのか。ベテランなら簡単に気づけるだろう施工上の問題に今の若手は気づけるだろうか。時代に合った教育が必要だと思う。

植松 栄作(総合建設会社、64歳)