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今年のゴールデンウイークは海外で過ごすことは難しいだろう。せめてもの旅気分に、オスカー・ニーマイヤー設計の建築群をブラジルから。前編は、この4月21日で首都移転60年を迎えたブラジリアをリポートする。

(イラスト・文・写真:宮沢洋)
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(イラスト・文・写真:宮沢洋)
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 ブラジルの首都がリオデジャネイロからブラジリアに移されたのは1960年4月21日。遷都からちょうど60年たった街を見渡すと、何もない原っぱにわずか4年で建設したことなど想像もつかない。

 「50年の進歩を5年で」を掲げたジュセリーノ・クビチェクが大統領に当選し、遷都に取り掛かったのが1956年1月。同年4月、都市計画コンペで選ばれたルシオ・コスタは、新首都建設公社の主任建築家を、教え子であるオスカー・ニーマイヤーに任せた。このときニーマイヤー49歳。

 コンペから5カ月後に大統領官邸などが着工。急ピッチで工事は進み、コンペから4年後に街開きを迎えた。

 20世紀の計画都市の多くがそうであるように、ブラジリアも自動車移動を前提とした大味なゾーニングで、正直、歩くのが楽しい街ではない。だが、ビルだけのつまらない街に陥ることを踏みとどまらせているのがニーマイヤーの建築群だ。

 その魅力的な建築群がすべて「4年」の間にできたわけではないことも特記しておきたい。街に人間くささを与えているのは、むしろ遷都後にできた建築たちだ。都市軸に沿って点在する教会や文化施設、庁舎は、どれ1つ似た形はないが、それでいて「誰が見てもニーマイヤー」。見ていて実に楽しい。歴史遺産が全くないにもかかわらず世界遺産となった(1987年)のもうなずける。

 次号は、サンパウロとリオデジャネイロをリポートする。