早稲田大学の人間科学部とスポーツ科学部があるのがここ、所沢キャンパスだ。大学の創立100周年事業の1つとして、1987年に開校した。場所は埼玉県南部の丘陵地。西武池袋線の小手指駅から専用のバスに乗ると、20分ほどで着く。
陸上競技のトラックと野球場の間を抜けるブリッジを進んでいくと、正面に低く長い建物が見えてくる。これが、このキャンパスで最初に建てられ、現在も主要校舎となっている、100号館である。
設計したのは池原義郎だ。早稲田大学の建築学科で長く教べんをとり、その研究室からは、数多くの建築家が育った。ちなみにミュージシャンの小田和正も修了生の1人である。
キャンパス内のスポーツホール、アクアアリーナなども池原の設計によるものだが、ほかにも周辺には、彼の作品が集中している。所沢聖地霊園礼拝堂(1973年)、西武ライオンズ球場(現メットライフドーム、79年)、西武園遊園地(85年)、中国割烹旅館掬水亭(90年)、西武園ゴルフ場クラブハウス(91年)、西武園競輪場(97年)などだ。巨大なスタジアムから、遊園地のパビリオンまで、規模も用途も様々な施設から成るが、そのなかで所沢聖地霊園礼拝堂と並んで池原の代表作と言えるのが、この建物だろう。