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設計=菊竹清訓建築設計事務所 施工=竹中工務店 構造=鉄骨鉄筋コンクリート造 階数=地下1階・地上7階 延べ面積=5万6710m2 竣工=1976年(昭和51年) 所在地=滋賀県大津市におの浜2-3-1 交通=JR琵琶湖線・膳所駅から徒歩8分
設計=菊竹清訓建築設計事務所 施工=竹中工務店 構造=鉄骨鉄筋コンクリート造 階数=地下1階・地上7階 延べ面積=5万6710m2 竣工=1976年(昭和51年) 所在地=滋賀県大津市におの浜2-3-1 交通=JR琵琶湖線・膳所駅から徒歩8分
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 再び始める建築巡礼。今回のシリーズで巡るのは1975年以降の建築だ。いわゆるポストモダニズムが隆盛を見せる頃だが、必ずしもそれにとらわれることなく、この時代の建築を幅広く取り上げていくつもりである。第1回は、西武大津ショッピングセンター(現・西武大津店)だ。

 西武百貨店の前身は東京・池袋で1935年に開店した菊屋デパートで、これを40年に武蔵野鉄道(現・西武鉄道)が買収、商号を変更して西武百貨店は始まった。その後、1950年代から60年代にかけて、沼津や鎌倉、船橋、渋谷など関東圏に店舗を広げる。そして大阪府の高槻に次いで、関西2号店として出店したのが大津だった。

 滋賀県を選んだのは商圏分析による判断だろうが、ここが西武百貨店にとってゆかりの深い場所であることも効いていたはずだ。創業者である堤康次郎は、県内の八木荘村(現・愛荘町)の生まれ。鉄道事業や不動産開発で成功した実業家だが、出身は近江商人の発祥地にたどることができる。

 西武百貨店は息子の堤清二に引き継がれ、文化を重視した独自の経営で注目されていく。その戦略的な店舗づくりに建築家として大きな役割を果たしたのが菊竹清訓だった。

 菊竹は西武百貨店を核とするセゾングループで、だるまや西武(1980年、現・西武福井店)、軽井沢高輪美術館(81年、現・セゾン現代美術館)、西友能見台店(83年)、西友大森店(84年)、銀座テアトルビル/ホテル西洋銀座(87年、現存せず)、西武渋谷店LOFT館(87年)など、多くの建築設計を担当する。そうした関係を築いていく最初期のプロジェクトがこの店舗だったというわけだ。

 セゾングループは解散し、西武百貨店はそごうと経営統合。さらに現在はセブン&アイ・ホールディングスの傘下に入っている。流通業界再編の中、西武大津店は現在まで営業を続けてきたが、残念ながら2020年8月に閉店することが決まっている。

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