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設計=磯崎新アトリエ 施工=大成建設 構造=RC造・S造 階数=地上2階 竣工=1994年(平成6年) 所在地=岡山県奈義町豊沢441 交通=JR津山駅からバス46分
設計=磯崎新アトリエ 施工=大成建設 構造=RC造・S造 階数=地上2階 竣工=1994年(平成6年) 所在地=岡山県奈義町豊沢441 交通=JR津山駅からバス46分
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 岡山県奈義町は中国山地の懐に位置する人口約6000人ほどの小さな町だ。岡山市中心部からこの美術館へは、鉄道とバスを乗り継いで2時間半くらいはかかる。交通の便がいいとはとても言えない。そんなところに現代美術館を建てて、果たして人が来るのか。そんな心配をした向きも少なくなかっただろう。

 しかし、実際に訪れてみると、この小さな施設にはひっきりなしに来館者があり、併設のレストランも満席の状態だった。訪れたのが平日だったのにもかかわらずだ。

 建物は、いくつかの棟に分かれている。アズキ色のスパンドレルで覆われた箱状の南棟は、1階がギャラリースペース、2階が町立図書館となっている。ギャラリーでは、現代美術の企画展が主に開催される。筒を斜めに転がしたような金色の棟には、「太陽」の展示室が入っている。片側をカーブした壁で覆った銀色の棟の内部は、展示室「月」である。そしてこれらの棟を結ぶ細長い棟には、館長室や喫茶室などとともに、展示室「大地」が収められた。

 各展示室では、特徴ある建築空間の中に、現代美術の作家がそれぞれ恒久的なインスタレーションをつくり上げている。展示室「太陽」では、荒川修作+マドリン・ギンズが傾いた円筒空間の内側に頭上まで迫り上がる石庭を設けた。展示室「月」では、岡崎和郎が、微妙な陰影を持つ壁にささやかな彫刻を取り付けた。展示室「大地」では、宮脇愛子が中庭から屋内まで連続する空間にステンレスワイヤで線を描いた。そんな具合だ。

(イラスト:宮沢 洋)
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