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設計=原広司、都市・建築計画センター・ベーシック、アトリエ・ファイ建築研究所 施工=北野建設 構造=鉄筋コンクリート造、木造小屋 階数=地上2階 竣工=1986年(昭和61年) 所在地=長野県軽井沢町長倉横吹2141-279 交通=しなの鉄道中軽井沢駅から徒歩20分
設計=原広司、都市・建築計画センター・ベーシック、アトリエ・ファイ建築研究所 施工=北野建設 構造=鉄筋コンクリート造、木造小屋 階数=地上2階 竣工=1986年(昭和61年) 所在地=長野県軽井沢町長倉横吹2141-279 交通=しなの鉄道中軽井沢駅から徒歩20分
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 訪れたのは2021年6月だった。雨がやんで、雲の切れ間から日が差すと、途端に周囲の木々が緑に輝き出した。場所は軽井沢の中央部にあたる平たんな別荘地の一角。そこに、この小さな美術館は立っていた。

 田崎美術館は、山を描いた風景画で知られる洋画家、田崎廣助の個人美術館である。田崎は晩年にアトリエを軽井沢に構えて活動していた。ちなみにアトリエを設計したのは吉村順三である。そうした地縁もあり、田崎の没後に、この施設が軽井沢にオープンした。こちらの設計者は、原広司である。

 道路に面した外観は、横に長い1枚の壁といった印象だ。その中央、左寄りのところに入り口がある。中に入ると、いきなりガラス越しに中庭が目に飛び込んでくる。展示室は2つある。1つはロビー奥の大きなスペースだ。美術館の展示室といえば、白い壁の四角い箱を思い描くが、ここはまったく違う。壁は折れ曲がり、柱も数多く立っている。照明もあるが、点灯せずともトップライトからの光で十分に明るい。

 中庭に出て、屋外通路を歩いていった先に、もう1つの展示室がある。こちらは片側がガラス張り。これもまた、美術館の展示空間としては型破りだ。こちらでは主に、絵画ではなく作家のゆかりの品々を展示している。

 館内には、来館者が利用できる休憩室もある。こちらは両側がガラス張りの空間だ。寒冷地の軽井沢で、これほど多くガラスを使って大丈夫なのかと心配する向きもあろうが、この美術館は、冬期は閉館してしまう。それを前提とした、設計になっている。

(イラスト:宮沢 洋)
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