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設計=設計組織アモルフ 施工=竹中工務店 構造=鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 階数=地上6階 竣工=1989年(平成元年) 所在地=神奈川県箱根町強羅1300 交通=箱根登山鉄道・強羅駅から徒歩3分
設計=設計組織アモルフ 施工=竹中工務店 構造=鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 階数=地上6階 竣工=1989年(平成元年) 所在地=神奈川県箱根町強羅1300 交通=箱根登山鉄道・強羅駅から徒歩3分
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 訪れるとまず目の前に現れるのは、旧閑院宮別邸だ。1930年に建てられたチューダー様式の建物は、現在、懐石料理を楽しむレストランとして使われている。89年に建て替えられた旅館「強羅花壇」は、その向こうに位置する。しかし、奥の崖地に下から建てられているため、そのボリュームはほとんど見えない。

 小さな門をくぐって玄関へ。フロントのあるロビーから、長い柱廊が真っすぐに延びる。一方の側は旧閑院宮別邸へ。反対側は、階段を少し下りて先端の月見台へ。その長さは、合わせて120mにも及ぶ。

 柱廊の途中には、大浴場やラウンジへの分岐がある。そして斜めに枝分かれして5層の客室棟が谷に向かって突き出ている。

 柱廊や階段室には、木の格子が執拗に繰り返されている。背景となる白壁や格天井、加えて床の瓦敷きや中庭の白砂利による効果も相まって、視覚的な印象は和風である。

 ただし、こんなにも長く延びる直線状の列柱空間は、日本の伝統建築に例がない。西洋建築に見られる強い形式性がうかがえる。所々にロタンダ(円形建物)風の小部屋が設けられていることもあり、構成だけを取り出せば、イタリア・ルネサンス期に考えられた、理想都市の一部分のようでもある。

(イラスト:宮沢 洋)
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