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BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)とVR(バーチャル・リアリティー、仮想現実)を家づくりのプロセスにフル活用している設計事務所がある。意思決定を早め、手戻りを減らすことで効率化を図る。

 「建て主に提案するプランは1案しかつくらない」──。フリーダムアーキテクツデザイン(東京都中央区)の建築事業開発部部長で社長の邸宅設計室室長でもある長澤信氏は、自信に満ちた口調でそう話す。

 同社は戸建て住宅の設計に特化した設計事務所だ。早い時期からBIMを使用してきた。2017年7月には、富裕層向けの戸建て住宅を対象とした「社長の邸宅」事業でBIMとVRを連動させたワークフローを導入した。

 建て主への最初の提案を1案に絞り込むことができるのは、このワークフローにより、設計の効率化を進めているからだ。

 設計者は、BIMソフトウエア「Revit(レビット)」で作成した3次元モデルをリアルタイムでVRに変換。ヘッドマウントディスプレーを装着し、天井高さからサッシ枠の太さに至るまで、空間を体感しながら3次元でプランをつくり込む。

〔写真1〕出来上がりの空間を関係者間で共有
〔写真1〕出来上がりの空間を関係者間で共有
フリーダムアーキテクツデザインの設計室で、VR(仮想現実)を用いて設計案を確認している様子。ヘッドマウントディスプレーを装着し、建物内を自由に移動しながら確認する(写真:日経アーキテクチュア)
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 当初は2次元で図面を描いていたという入社3年目の設計者、藤目源紀氏は、「図面をどう描くかではなく、空間をどうつくるかに発想がシフトして、設計が楽しくなった」と話す。長澤氏は「この部分が狭過ぎるとか、ここは危ないといった感覚が身に付き、経験の少ない設計者もみるみる成長する」と目を細める。

 設計案は、社内のチームメンバーで一緒に画面を見ながら検討。レビュー結果を即座に3次元モデルに反映し、提案を磨き上げていく。藤目氏の場合、1件の提案を作成するのにかかる時間は5日程度と、以前の約3分の1になったという。

 VRを用いて社内で精査しているので、担当者は自信を持ってプレゼンテーションできる。同社はこれまでに「社長の邸宅」で4件を受注。成約率は66%に上る。