10月16日、再び発覚した「免震偽装」に衝撃が走った。油圧機器大手のKYBと子会社が免震・制振用オイルダンパーの性能検査データを改ざん。大臣認定の仕様や顧客契約に反した製品を出荷していたことが判明した。被害に遭った施設は、庁舎や病院、商業施設、マンションなど広範に及ぶ。後手に回るKYBの対応に、建物所有者からは不安や怒りの声が上がる。15年の東洋ゴム工業による免震偽装事件の発覚後も、不正は平然と続けられていた。事件の教訓は生かされず、建物の安全性や品質に対する信頼が大きく損なわれた。信頼回復へ、建築界を挙げて抜本的な対策に取り組むことが急務だ。

(写真:池谷 和浩、日経アーキテクチュア)
(写真:池谷 和浩、日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]
事件の経緯
2018年8月ごろ KYB子会社で免震・制振用ダンパーの製造を手掛けていたカヤバシステムマシナリーにおいて、性能検査記録データが改ざんされている疑いが浮上。従業員が内部告発
9月8日 カヤバシステムマシナリーが社内調査の結果を踏まえ、性能検査記録データの書き換え行為の禁止を指示
9月12日 カヤバシステムマシナリーの報告を受け、KYBが社内に対策本部を設置し、調査開始
9月19日 KYBが、データ改ざんの事実について国土交通省に報告。以降、対象製品および対象物件の特定、基準値から大きく乖離した物件の安全性検証のための構造計算を実施
9月26日 KYBが外部調査委員会を設置
10月5日 大臣認定の仕様と異なった材質のピストン、パッキンが使われていたことが判明し、KYBが国交省に報告
10月9日 対象物件に橋梁が含まれることが判明し、KYBが国交省に報告
10月16日 KYBが免震・制振用オイルダンパーの検査データを改ざんし、986件の建物に設置していたと発表
10月17日 国交省が免震装置メーカー88社に改ざん有無の報告を要請。年内の報告を求める
10月19日 KYBが不正があったオイルダンパーが使われている建物名を一部公表。不正対象は全体で1095件に拡大
10月22日 日本建設業連合会が、不正品の交換時に装置の性能を第三者が調査する仕組みをつくる方針を表明
10月23日 川金ホールディングスも免震・制振用ダンパーの検査データ改ざんを発表。93件の建物に設置していた。国交省は同日、メーカー88社に要請した調査の一部項目について報告期限を「今週中」に前倒し。また、工事中物件の仮使用認定の取り扱いについて特定行政庁などに通知
10月26日 国交省が「免震材料及び制振部材に関する外部有識者委員会」を設置し、11月9日に初会合を開くと発表
(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)