国内の住宅ストックが膨れ上がるなか、単に設備や仕上げを刷新しただけの改修では、嗜好が多様化した買い手や住まい手に選ばれない。評価されるのは、想定するユーザーの嗜好を捉え、それを徹底的に追及した改修だ。省エネなど各種性能と意匠性の両立、京町家、DIYといった独自性を売りに、事業者がユーザー目線で手掛けた事例から、売れる住宅改修の条件を探る。

特集
売れる住宅改修の条件
ユーザー目線で潜在価値を掘り起こす
目次
-
築30年をゼロエネ高級住宅に
「新築以上」の性能がセールスポイント
安かろう悪かろうという中古住宅のイメージを払拭し“高性能ヴィンテージ住宅”として再生する。既存住宅の意匠や各種性能を改修で高め、1億円超の高級住宅に仕立てて再販する実証事業が首都圏で続いている。
-
格子や通り庇で「町家」を洗練
再建築不可でも金融機関から融資を得る
「京町家」らしい趣を損なわない改修で、再建築不可の住宅にもかかわらず金融機関からの融資を可能にした。ニーズが高い京町家ならではの魅力を徹底的に追究することで、買い手や借り手の評価を勝ち取っている。
-
割り切った改修で価値再生
「負動産」化した空き家を借り上げて転貸
築30年以上の空き家を所有者から借り受け、部屋をカスタマイズしたい住まい手の嗜好に合わせて割り切った改修を実施。「改装可」で転貸する。事業者が初期投資や空室のリスクを負うことで新たな市場を開拓した。
-
デジタルで「がっかり」軽減
劣化状況も開示して不安や不満を払拭
中古住宅で顧客があきらめがちだったIoT化や高断熱性能を付加することで差別化につなげる。躯体の劣化状況なども開示して、中古ならではの「見えない部分」に対する顧客の不安や不満を払拭する。