PR

最終回の今回は、擁壁の不具合について取り上げる。はらみ出しや傾き、それらに伴うクラックといった不具合で、いずれも背後地盤の変状が原因。設計時の想定を超える力が擁壁にかかるメカニズムを紹介する。

(写真:日経アーキテクチュア)
(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 下の写真は当社が地元(松江市)で手掛けた調査例で、ひな壇形式の古い造成地で生じたブロック積み擁壁の不具合だ〔写真1〕。造成時期の正確な記録はなかったが、住まい手の話から築後30年以上は経過しているとみられる。この擁壁は上下端の斜長が4.3m。天端から下方に長さ3mのクラックが生じ、擁壁上部がはらみ出す形で前傾していた。

〔写真1〕擁壁の上部が前傾
〔写真1〕擁壁の上部が前傾
背後は切り土層の上に盛り土層。後者が滑り、上部に想定以上の負担がかかったとみられる(写真:藤井基礎設計事務所)
[画像のクリックで拡大表示]

 擁壁上部の宅地は南北に同じ地盤面で隣地が並び、境界ブロックで仕切っていた。宅地西側が谷方向で、この擁壁がある。宅地南北の境界ブロックは、擁壁側の端部からいずれも約5.5mの位置に大きなクラックがあり、それぞれクラックを境に擁壁側が下がっていた〔写真2〕。

〔写真2〕敷地の境界ブロックにもクラック
〔写真2〕敷地の境界ブロックにもクラック
擁壁上部の宅地では隣地との境界ブロックにもクラックがあり、擁壁側(右手)が下がっていた(写真:藤井基礎設計事務所)
[画像のクリックで拡大表示]