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- 「増築」「大規模修繕・模様替え」「用途変更」では原則、建築確認が必要
- 建築確認が不要な場合でも、法への適合は求められる
「改修」や「リノベーション」という言葉を日常よく使うが、建築基準法の法的な用語にこれらの言葉はない。建築物の耐震改修の促進に関する法律、いわゆる「耐震改修促進法」には「改修」という言葉が含まれるが、ここでは「耐震改修」という1つの用語として用いている。
そのため、建築確認申請が必要かどうかを判断する際には、一般に「改修工事」と呼んでいるものが、建築基準法におけるどの行為に該当するかを考える必要がある。
「建築物の建築等に関する申請および確認」については、建築基準法6条に記載されている。
法6条1項1号から3号まででは、「建築」「大規模の修繕」「大規模の模様替え」において確認の申請書を出し、確認済み証の交付を受けなければならないとしている。また、「建築」については法2条1項13号で「新築」「増築」「改築」「移転」と定義している〔図1〕。
一般に改修工事と呼ぶものは、建築基準法での増築、改築、移転、大規模修繕、大規模模様替え、用途変更のいずれかを指していることが多いだろう。それらの行為全てに建築確認が必要というわけではなく、法6条における建物区分や建設地などに応じて要否が異なる。
確認不要でも法適合は必須
例えば、法6条1項4号の建物(2階建て以下の小規模木造住宅などのいわゆる4号建築物)では、建築しようとする場合のみ申請が必要だ。大規模修繕・大規模模様替えは申請対象に含まれない。
また、防火地域および準防火地域以外での10m2以内の増築、改築、移転も確認申請は必要としない。
これに関連して、「10m2以内の増築を何度も繰り返すことはできるか?」という質問を受けることがある。つまり、最終的に10m2を超える増築計画でも、複数回に分けて実行すれば確認申請は不要なのか?
法文上は確かに10m2超の場合に確認申請することとされているが、増築の合計が10m2を超える時点で必要になることもある。複数の小規模増築を繰り返す場合は、特定行政庁に申請の要否を確認しておきたい〔図2〕。
なお確認申請が法的に必要でない場合でも、その建築物が法に適合していなくてよいわけではない。法適合は大前提という点を肝に銘じてほしい。