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- 200m2超の特殊建築物への用途変更は原則、要申請
- 類似用途に変更する場合は申請不要
- 完了検査は不要だが、完了後の届け出は役所に出す
全ての「用途変更」で建築確認申請を要するわけではない。必要になるのは、建築基準法別表第1(い)欄に掲げる「特殊建築物」(法6条1項1号)の用途に供する部分の床面積が200m2を超える場合だ(法87条1項)〔図1〕。
非特殊建築物を特殊建築物に用途変更する場合は、その用途に供する部分の床面積が200m2を超えると確認申請が必要になる。「事務所」から「患者の収容施設のある診療所(以下、診療所)」への用途変更などが該当する。特殊建築物から特殊建築物への用途変更でも、類似用途〔図2〕に変更する場合を除き、床面積が200m2を超えると確認申請が必要だ(建築基準法施行令137条の18)。
逆に、診療所から事務所への用途変更のように特殊建築物から非特殊建築物への変更では、床面積が200m2を超えても確認申請は不要。
以前は、特定行政庁によって運用解釈がばらついている項目があった。例えば、事務所を学校に用途変更する場合に適用される居室の採光(法28条1項)などだ。こうした状況を踏まえて国土交通省は、2016年3月31日の技術的助言(国住指4718号)で解釈の統一を図った。細かい内容は同助言を参照するとよい。
新築や増改築とは異なり、用途変更では確認申請が必要な場合も完了検査の申請は不要だ。ただし、工事が完了したら、完了後4日以内に建築主事に届け出を行う。確認検査機関から確認済み証の交付を受けた場合も、完了の届け出の提出先は役所の建築主事なので注意する。
なお、たとえ用途変更の確認申請が不要である場合でも法律の適用自体が無くなるわけではないので、気を付けてほしい。
今年6月、用途変更では何が変わる?
この6月に施行予定の法改正では、用途変更に関わる内容もあった。建築確認の対象となるかどうかの分岐点になる「特殊建築物の用途に供する床面積」が100m2から200m2に倍増したことが1つ。このほか、用途の変更に対する建築基準法の準用を記した法87条に続いて、法87条の2と法87の3が新設された。
法87条の2では、増改築の場合と同様に、用途変更に対する「全体計画認定制度」を導入した。従来は、用途変更に伴って現行基準に適合させるための改修は一度にまとめて実施する必要があった。法改正により、特定行政庁から「全体計画」の認定を受ければ、段階的・計画的な用途変更が可能になった。
法87の3は、災害時の一時的な利用に関する緩和規定だ。以前の緩和規定の対象は新築等だけだったが、改正後は、既存建築物を一時的に他用途に使用する場合も加わった。