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(イラスト:宮沢洋)
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Q1 耐火や防火区画の規定はどう改正されてきた?

A
  • 1959年に耐火・簡易耐火建築物が登場
  • 1980年代後半以降、木造建築物の規制を緩和
  • 近年は既存建築物の活用を促す規制緩和も

 増改築で既存不適格部分に対する遡及の有無を検討するとき、見逃してはならない要素の1つに防耐火規定がある。その際に、「建築基準法がどう変わってきたか」の流れをつかんでおくと、建築年を踏まえてその建築物が既存不適格の状態にあるのかどうかを判断するのに役立つ。

 ここでは防耐火の構造と防火区画について、建築基準法の主な変遷を振り返ってみよう〔図1〕。

〔図1〕「構造体の防耐火規定」の整備に始まり「性能規定化」へ進む
〔図1〕「構造体の防耐火規定」の整備に始まり「性能規定化」へ進む
1970年代までは建物の大規模化に伴って耐火構造や防火区画の規定強化を進めた。80年代後半から木造建築物に対する規制緩和が始まり、2000年以降は性能規定化で設計の自由度を拡大
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 1950年、建築基準法施行時の防火関連規定は、特殊建築物の耐火構造、面積と異種用途による防火区画などだった。59年に耐火・簡易耐火建築物の規定を新設。特殊建築物などに対する内装制限を導入した。

 31mの高さ制限を一部廃止した64年には、耐火構造規定を強化。最上階からの階数に応じて、壁や柱、床といった部位ごとに30分、1時間、2時間、3時間の耐火性能時間を定めた。この規定は、後に非損傷性、遮熱性、遮炎性に対する性能規定を設けるなどした以外は、大きく変化することなく現在に至る。

 69年には竪穴区画を新設。71年には、耐火建築物とする必要のある特殊建築物に、養老院や児童福祉施設、図書館などを追加した。

進む性能規定化

 80年代後半以降は、木造建築物に 対する規制緩和が進む。

 87年、高さ13m、軒高9mを超える木造建築物や準防火地域内の木造3階建て建築物が可能になった。

 93年には、従来の簡易耐火建築物に代わって準耐火建築物を新設し、イ準耐火と、従前の簡易耐火に相当するロ準耐火を規定した。併せて、防火・準防火地域以外の地域で、準耐火建築物である木造3階建て共同住宅を建てられるようにした。

 その後2000年には、木造3階建て共同住宅が建てられる地域を準防火地域内に拡大。15年には3階建ての学校や延べ面積3000m2超の建築物も、一定の延焼防止措置を取ることにより木造が可能になった。さらに18年と19年には、木造の耐火構造に関する告示仕様を規定する、耐火構造等としなくてよい木造建築物を「高さ16m以下かつ3階以下」に拡大するなどの緩和策を施行した。

 並行して進んだのが、性能規定化と既存ストックの活用を促す規制緩和だ(詳細はQ2参照)。

 防火シャッターについても、重大な事故や火事を受けて設置基準を強化している。05年には非常時に挟まれる事故を防ぐ安全装置の設置を、19年には大規模倉庫を対象に防火シャッターの感知器に接続する配線の被覆などをそれぞれ義務付けた。

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