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(イラスト:宮沢洋)
(イラスト:宮沢洋)
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 検査済み証のない建築物は、既存不適格建築物なのか、違反建築物なのか。その判断はとても難しく、以前は増改築や用途変更などを行う際の確認申請手続きが困難だった〔図1〕。

〔図1〕書類がそろっていないと現地調査が必要に
〔図1〕書類がそろっていないと現地調査が必要に
確認申請図書がない場合には、状況に応じて現地調査や特定行政庁の記載台帳の確認、破壊・非破壊の構造調査などによって建物の法適合状態を把握していく必要がある
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 2014年7月、国土交通省は建築ストックの有効活用や不動産取引の円滑化の観点から、検査済み証のない建築物の調査方法を示したガイドラインを公表した。

 検査済み証のない建築物を増改築あるいは用途変更する場合、もともとは建築主(所有者)から相談を受けた建築士が既存建築物の状況や法改正の変遷を調べ、法適合を手探りで判断することが多かった。だが、ガイドラインの登場によって、検査済み証のない建築物の法適合状況を確認する手段として、指定確認検査機関がガイドラインにのっとって調査するルート(以下、ガイドライン調査と呼ぶ)が加わった〔図2〕。

〔図2〕確認検査機関が行う「ガイドライン調査」の流れ
〔図2〕確認検査機関が行う「ガイドライン調査」の流れ
図上調査や現地調査は指定確認検査機関の建築士または建築基準適合判定資格者が実施し、その結果については建築基準適合判定資格者が法適合状況を確認する。ガイドラインの正式名は「『検査済証のない建築物にかかる指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン』について」(国住指第1137号)
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判定資格者が客観的に調査

 ガイドライン調査では、調査者として国土交通省へ届け出た指定確認検査機関(正確にはガイドライン調査機関と呼ぶ)が、依頼者から提出された図書に基づき、図上調査と現地調査を行い、調査対象建物の建築当時の建築基準法などへの適合状況などについて、その結果を「法適合状況調査報告書」としてとりまとめる。

 指定確認検査機関は、法適合状況 調査結果を、「適合」「既存不適格」「不適合」「不明」の4つに分けて報告する。この法適合状況調査報告書自体は検査済み証とみなされるものではないが、「適合」もしくは「既存不適格」であることが確認されれば、調査結果を確認申請における既存不適格調書の資料とすることができる。

 また、調査の結果、著しい劣化事象がある場合は、ガイドライン調査機関はその内容を依頼者へ報告する。

 では、「不適合」つまり違反建築物であったものはどうなるか。この場合、建築物の違反事実の確定と違反是正の指導などは特定行政庁の権限なので、その後の対応については特定行政庁と相談することになる。不適合箇所が明らかであり、それについて是正・適法化をすることができれば、増築などの確認申請が行える可能性がある。

 このガイドライン調査は強制されるものではなく、従来のように必要なすべての資料を建築士が用意することも可能だ。ただ、指定確認検査機関によるガイドライン調査は、報告書の確認を建築基準適合判定資格者が行うので、調査の信頼性は高い。また、依頼者と利害関係のない第三者が調査を行うので、客観的な調査が期待できるともいえるだろう。

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