検討の前倒しがポイント

 日建連では具体的に、どのような取り組みを進めていますか。

 生産性の底上げに欠かせないのが、技術力の向上と環境改善。これらを両輪に進める必要があります。

 技術については、職人による手仕事と、自動化・機械化やICT(情報通信技術)ツールの活用などがあるでしょう。前者は、技術者・技能者の個の能力を高めること、後者は業界全体への水平展開を見据えた汎用技術の導入が重要だと捉えています。

 これらを複合的に取り入れることで現場の働く環境が整い、担い手確保に向けた業界の魅力向上につながると考えています。

 建設業は、1990年代のバブル絶頂期にも職人危機を経験し、それを乗り切るために生産性向上に寄与する技術を開発してきました。既に成熟している技術も多い。

 日建連では、生産性向上に役立つ技術を以下の6つに大別しています〔図2〕。(1)生産性を考慮した設計のつくり込み、(2)工場生産による現場作業の削減、(3)現場作業の単純化・高効率化、(4)作業の標準化、(5)自動化・機械化、(6)BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)とICTの活用です。

1. 生産性を考慮した設計のつくり込み
  • ハイブリッド構造やフラットスラブの採用
  • 柱・梁の均一断面化
  • 設備を拘束しない構造計画
  • フロントローディング(設計の前倒し)の導入
2. 工場生産による現場作業の削減
  • プレキャストコンクリート(PCa)化
  • 複合化
  • 鉄骨・鉄筋の先組み
  • 工場での設備ユニット化
3. 現場作業の単純化・高効率化
  • 無足場工法や脱型不要のラス型枠、巻き付け耐火被覆材の採用
  • 鉄骨小梁や床デッキなどをユニット化するフロアパネル工法の採用
4. 作業の標準化
  • 作業人員の平準化、多能工化
  • 専門工事会社が一括揚重する建設ロジスティックスの推進
5. 自動化・機械化
  • GPSやセンサー、無線、BIMを活用した工事機械などの遠隔操作・自動制御、自動運搬の導入
  • 高効率な小型クレーンや工事用エレベーターの導入
6. BIM・ICT活用
  • 建築・設備・構造の干渉チェック
  • 鉄骨製作データとの連動
  • 仮設計画、施工ステップ検討
〔図2〕生産性を高める6つの技術
日建連がまとめた主な生産性向上の考え方。木谷施工部会長は、「生産性を考慮した設計のつくり込みとして現在、施工部会では、設計企画部会、設備部会と連携したフロントローディングのガイドライン作成を進めている」と話す(資料:日本建設業連合会)

 BIMを活用したフロントローディング(検討の前倒し)によって生産情報を設計図書に反映していく。こうすることで建築と設備の干渉チェックなど様々な局面で関係者間の円滑なコミュニケーションが図れます。意思決定の迅速化にもつながる。プレキャストコンクリート(PCa)の利用やプレハブ化などを早期段階で取り入れることも可能です。

 また、仮設の省ける合理的な工法を利用するなどすれば、コストを抑えながら安全性や品質を保つこともできる。そのうえで、ロボットやICTを活用した自動化や機械化が現場で生きてくるのだと考えています。

目次

■変更履歴
1ページで、本文中「建築は16兆円」を「建築(非木造)は16兆円」に、〔図1〕の円グラフ中「建築」を「建築(非木造)」に、同グラフ中「土木」を「その他」にそれぞれ訂正しました。[2019/04/26 12:50]