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 先達に聞く≫ 團 紀彦 團紀彦建築設計事務所代表
(写真:日経アーキテクチュア)
(写真:日経アーキテクチュア)

アイデンティティーを「脱臭」するな

 台湾中部で「日月潭(にちげつたん)風景管理処」(2011年竣工)を設計し、それを皮切りに、「台湾桃園国際空港第一ターミナル再生計画」(13年竣工)などアジアの依頼が増えた。今では仕事のうち海外のプロジェクトが8割を占める。

 進行中のプロジェクトには、中国や台湾が多い。中国宜興市の芸術村では、工房を含めた複合施設の設計を依頼された。台湾では島に建設する5つの小さな空港施設をコンペで取り、これから進めていく。

 海外では、言葉の壁はどうにでもなる。それよりも日本の文化や歴史をよく知り、アジアの発注者がなぜ日本人に依頼したのかを考えることが大事だと思う。私の場合は、「和」のデザインは全く求められなかったし、それを売りにしようとも考えていない。

 現地の法規制については、日本で培ったことが役に立った。国によって法規が違うといっても、日本の法規制と照らし合わせて考えれば理解しやすい。重要なのは、建築家としてどこに軸足を置くのかだ。それがはっきりしていれば、現地で話すときの自信になり、相手からも信頼される。グローバル化しても、日本人くささを「脱臭」し過ぎてアイデンティティーを失ってはいけない。

 とはいえ、「日本ではこうだ」と相手に押し付けることは絶対に言ってはいけない。そこで信頼関係は終わるので要注意だ。

(談)

台湾の湖畔に立つ「日月潭風景管理処」。これで團氏は、台湾以外の建築家で初めて台湾建築賞首賞を受賞した(写真:團紀彦建築設計事務所)
台湾の湖畔に立つ「日月潭風景管理処」。これで團氏は、台湾以外の建築家で初めて台湾建築賞首賞を受賞した(写真:團紀彦建築設計事務所)
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