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台湾出身のマネジャーで飛躍

 南山広場のプロジェクトで、設計業務を拡大できたのは、もう1人のキーパーソンである三菱地所設計海外業務企画部主事の張瑞娟氏の力が大きい。張氏は、須部氏が中国から日本に帰任した2013年から、通訳を兼ねたプロジェクトマネジャー(PM)として参加、18年に社員となった。張氏が加わってから、プロジェクトの受注が拡大している〔図3〕。

〔図3〕外部の回遊性を重視し壁面を緑化
〔図3〕外部の回遊性を重視し壁面を緑化
2020年竣工予定の台南市東区の商業、ホテルの複合施設。発注者は台南紡織。三菱地所設計は、基本構想と基本設計で外装デザインなどを担当。壁面を緑で覆う(資料:三菱地所設計)
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 「海外のプロジェクトは、現地の市場を理解したスタッフに、アドバイスをもらいながら進めることが欠かせない。中国では現地法人の副総経理であるスタッフがマネジメントを担う。彼女たちが当社の設計を熟知し、その魅力を現地の関係者にプレゼンしてくれることで、仕事が広がってきている」(大草氏)

 コンペに勝って設計を手掛けた「富邦人壽遼寧街プロジェクト」も張氏が以前、台湾で勤めていた設計事務所とのつながりがきっかけとなった〔図4〕。南山人壽のライバル企業の富邦人壽保險が発注者となるが、南山人壽の株主である潤泰集団の尹衍樑総裁も、簡氏も台湾での設計活動の拡大に理解を示してくれた。

〔図4〕かつての所属事務所と協働
〔図4〕かつての所属事務所と協働
台北市中山区で建設が進むインキュベーションオフィスと商業施設から成る施設。2021年の完成を目指す。発注者は富邦人壽保險。張氏が台北で在籍した大矩聯合建築師事務所と協働(資料:三菱地所設計)
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 須部氏は、「設計にこだわるのは私の役目。発注者が何に困っているのかを張が分析し、大草を交えてどういうチームでやるか決める。そこがうまく回っている」と捉える。

 富邦人壽が高雄市で進める延べ50万m2の大型開発も、指名コンペに勝ち19年1月に受注した〔図5〕。ここでは山田晋氏(三菱地所設計建築設計一部)がプロジェクト統括を務めるなど、メンバーも拡大している。

〔図5〕日本の大手3社の設計コンペで勝利
〔図5〕日本の大手3社の設計コンペで勝利
高雄市で富邦人壽保險が進める事務所やホテル、商業、水族館などから成る延べ約50万m2(予定)の開発。多くの用途が複合するプロジェクトであることから、日本の大手3社による設計コンペが開かれ、三菱地所設計が勝利し、19年1月に受注した。25年の竣工を目指す(資料:三菱地所設計)
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