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スター性は必ずしも求められず

市川紘司(いちかわ・こうじ)氏
建築史家、明治大学助教
市川紘司(いちかわ・こうじ)氏 1985年生まれ。2008年横浜国立大学工学部建設学科卒業。東北大学大学院工学研究科博士課程に在籍中、中国・北京の清華大学建築学院に留学。17年東北大学大学院博士課程修了。18年より明治大学理工学部建築学科助教。専門はアジア、特に中華圏の建築と都市の歴史(写真:岡本 雄大)

 中国の人々は一般的に、日本的なデザインの細やかさを高く評価し、日本の建築家がつくるものは洗練されていて空間に親密感があるというイメージを持っている。クライアントがそのようなイメージを自分の建物に持たせたいとなると、日本の建築家が設計することが重要になり、それが1つのブランドにもなる。

 私も中国に留学していたときの知り合いを通じて「日本の建築家を紹介してほしい」と頼まれることがある。そのときの「日本の建築家」は、「日本に事務所を構え、日本の建築文化を理解して設計できる建築家」のこと。必ずしもスターアーキテクトが望まれているわけではない。ただ、日本人であっても中国を拠点としている建築家は、逆にあまり好まれないことがあるのが興味深い。

 建築をめぐる社会状況は、中国も日本に近づきつつある。また、アジアの建築家たちも力をつけており、日本はすでにアジアにおいて特権的な位置にはいない。今はむしろ同時代的な問題を共有し、連動しているものと捉え、建築の思想や実践を相互に学び合っていくべきだろう。

(談)

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