既存住宅の性能向上改修は、省エネ住宅に向けたサッシメーカーからの提案の1つだ。大手2社は、開放的な間取りと省エネ性を両立させる新たな窓部材を相次ぎ製品化し、新築、改修の両面で省エネ住宅ニーズに挑む。
YKK APが各地の設計事務所や建設会社とタッグを組んで進めている「戸建て性能向上リノベーション実証プロジェクト」(「築38年のリノベで「ZEH超え」を実現」参照)の事例は、5月時点で7事例に達した。最新事例の1つが19年4月に公開した「神戸 六甲の家」だ。
これは事業主である建設会社のKIMURA-GRITグループ(神戸市)が、中古物件を購入した住まい手から受注した工事で、神戸市灘区に立つ築37年の2階建て木造住宅を生まれ変わらせた〔写真1〕。
改修前

改修後
断熱改修により建物全体の外皮平均熱貫流率(UA値)は0.43W/m2Kとなり、断熱性能は改修前の同2.44W/m2Kに比べて大きく向上した。改修後の省エネ性能はHEAT20(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)におけるG2グレードに相当する。
キーデバイスとなったのが窓部材だ。改修で窓部材を一新、YKK AP製の高断熱性樹脂窓「APW430」などに入れ替えた。