高い断熱性能を暮らし方の提案に組み入れた産学協同による分譲住宅開発が、山形市で進んでいる。公園のように整備した住宅地とウッドデッキを備える省エネ住宅で、日々を快適に暮らすコンセプトだ。

「断熱性能一辺倒で設計を進めると、窓の小さな、外部から閉じた住宅になりやすい。一方、住宅を豊かな生活の場とするには、景観など周囲の自然環境とのつながりが欠かせない。自然に親しむ“アウトドア”の感覚がとても大切で、そこにコラボレーションの芽があった」
東北芸術工科大学教授で建築家の竹内昌義氏はそう語る。現在、山形市前明石地区で工事が進んでいる「山形エコタウン前明石」プロジェクトで、デザイン監修などを手掛けている〔写真1〕。
事業主は地元建設会社の荒正(山形市)。竹内氏が設計を手掛けた「オガール・タウン」(岩手県紫波町)をきっかけとして、同社からの提案で始まった産学協同プロジェクトだ。東北芸術工科大学が宅地割りを含むマスタープラン、ランドスケープデザイン、建築物のデザイン監修などを受託している。
このプロジェクトでコラボレーションしているのが、アウトドア用品ブランドを運営するスノーピーク(新潟県三条市)だ。プロジェクトでは、「“野遊び”を取り入れたライフスタイル・バリューの提案」を掲げる。