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 英国ロンドンのテムズ川南岸で、総事業費13億ポンド(約1700億円)を投じる民間再開発プロジェクト「Bankside Yards(バンクサイド ヤード)」が進行中だ。鉄道橋で約150年間分断されていた東西エリアをつなぎ、住宅やオフィスなどが入る8つの建物と、8つの公共スペースを生み出す〔図1〕。マスタープランづくりや、6棟の設計などを、英国の設計事務所PLPアーキテクチュア取締役の相浦みどり氏らが手掛ける。

〔図1〕10年後を見据えた再開発
〔図1〕10年後を見据えた再開発
英国ロンドンの再開発「Bankside Yards」のイメージ。鉄道橋を境に、2022年開業予定の第1フェーズ、27~28年開業予定の第2フェーズに分かれる(資料:PLPアーキテクチュア)
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交流の場づくりが差別化に

 計画に当たり、相浦氏らはGen Z(ジェネレーション ゼット)(ミレニアム世代の次の世代)が働く1日を想定した。履歴データによって、カフェに行くと自分好みのドリンクが提供され、オフィスの席に着くと自分好みに照明や温度が調整されているイメージだ。

 この先10年でスマートテクノロジーやサステナビリティーは建物の標準仕様となる。そこで、差別化するには、ビジネスとレジャーの融合と、交流を促すプレイスメイキングが鍵になると相浦氏はみている。

 「未来予測にまだ社会がついて来なくても、それを今、マスタープランの段階から都市に埋め込んでおかないと、社会の変化に空間が適応できなくなる。幸いにも、そうした設計者の役割に気付いた発注者が海外にも日本にもいて、私たちの設計事務所には10年後の予測も含めた仕事の依頼が増えている」(相浦氏)

 相浦氏は20年前、米国の設計事務所EwingCole(ユーイングコール)に就職して以来、ずっと海外で設計やプランニングに携わってきた。海外から見てポスト五輪の日本では、人やビジネスの交流がより活発になると予測する。そこで不可欠なのが、不確定な未来にも適応可能な都市空間づくりだ。「20年間、海外で蓄積した経験をようやく日本に役立てられる」と話し、日本での仕事にも意欲を見せる。

(写真:PLPアーキテクチュア)
(写真:PLPアーキテクチュア)
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あいのうら みどり:1970年神奈川県生まれ。93年お茶ノ水女子大学を卒業後、住宅メーカーに就職。99年EwingColeに就職し、03年KPF Londonに転職。09年PLPのKPFからの独立に伴い、PLPアーキテクチュアへ移行。18年から同社取締役、19年PLP/LABSの創設に携わる