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 「山形庄内の魅力を体感する、田んぼに浮かぶホテル」として、鶴岡市に2018年「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE(ショウナイ ホテル スイデン テラス)」(スイデンテラス)が開業〔写真1〕。建築家の坂茂氏が初めて設計したホテルだ。

〔写真1〕市街地と農地の接点に立つホテル
〔写真1〕市街地と農地の接点に立つホテル
スイデンテラスを背景に立つ山中氏。この角度から見たときのホテルが一番美しいため、手前の水田に建物をつくる計画は取り止めた(写真:長井 美暁)
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 発注・運営者であるヤマガタデザイン代表取締役の山中大介氏は、「鶴岡に来て、コンクリートの箱の中で過ごしたいとは思わないだろう。そんな発想から、日本最大級の木造ホテルが出来上がった」と言う。

 スイデンテラスは、「鶴岡サイエンスパーク」内に立っている。鶴岡市が開発を進めてきた場所だ。

地域住民がまちづくりの当事者

 山中氏は鶴岡に移住する前、三井不動産で大型商業施設の用地取得などを担当していた。「自分がやりたいのは社会課題の解決によって価値を生み出すことだ」と思い、サイエンスパークに本社を構えるバイオベンチャー企業に入社。家族で鶴岡に移り住んだ。

 ヤマガタデザインを設立したのは、その2カ月後のこと。サイエンスパークで未開発の用地をどうするか。市は追加投資できないし、民間の引き受け手も見つからない。ならば自分が解決しようと起業した。

 会社設立後は、地元企業を中心に約40社の投資を受け、23億円を集めた。「地域課題の解決のために、地域の人たちがリスクを取り、資金を出し合った形だ」と山中氏は語る。

 山中氏はヤマガタデザインで、地域課題を解決する事業をデザインし、それによって持続・自走する地域を実現することを目指している。デザインした事業の1つが、宿泊・料飲事業のスイデンテラスだ。

 世界から訪れるきっかけと、地域の魅力を体感できる滞在環境を提供することで、旅行者や短期滞在者といった交流人口を増やし、地域外からお金を獲得しようと考えた。交通の便の悪さを克服し、目的地にしてもらうため、コンテンツの可視化として坂氏に設計を依頼した格好だ。


やまなか だいすけ:1985年東京都生まれ。2008年慶応大学環境情報学部卒業後、三井不動産に入社。14年6月Spiber(スパイバー。人工合成クモ糸素材「QMONOS」の量産技術確立で知られるバイオベンチャー企業、山形県鶴岡市)に入社。同年8月ヤマガタデザインを設立