PR

 「全部自分で設計しようなんて考えない」。永山祐子建築設計(東京都杉並区)主宰の永山祐子氏は、「私の作品」にこだわらない。待っていてもチャンスは回ってこないので、積極的にコンペに参加し、2020年 ドバイ国際博覧会(ドバイ万博)日本館の設計を任された〔図1〕。

〔図1〕「水と風」がコンセプトの2020年 ドバイ万博日本館
(資料:日本館広報事務局)
(資料:日本館広報事務局)
[画像のクリックで拡大表示]
(資料:日本館広報事務局)
(資料:日本館広報事務局)
[画像のクリックで拡大表示]
「Connect(つなぐ)」という万博のテーマに合わせ、日本とドバイのつながりを砂漠が広がるドバイには不可欠な「水と風」に見いだし、それらをコンセプトに据えて建物を提案した。NTTファシリティーズと共同で設計する

 永山氏が重視するのはコンセプトづくりだ。公募期間の2週間で考え抜いた提案書のときから、主張は変わっていない。永山氏は建物が立つ地域をリサーチ。ドバイでは「水と風」が大切で、海水を淡水に変える装置を日本企業が納めているのを知った。

 イスラム国家では一般的な幾何学模様と日本の伝統文様が似ていることにも着目。日本館を立体格子で覆い、水と風で揺らめかせて「光と影」を表す提案で勝った。「このコンセプトを共有すコーディネーターが自分の役割」と永山氏は考えている。

都心の超高層ビルにも参画

 東京急行電鉄と東急レクリエーションが東京・歌舞伎町に建設する超高層ビルの設計にも、永山氏は関わっている〔図2〕。全体設計は久米設計と東急設計コンサルタントで、エンジニアリングはアラップが担当する。

〔図2〕歌舞伎町で存在感を示す高さ225mの超高層ビル
〔図2〕歌舞伎町で存在感を示す高さ225mの超高層ビル
オフィスフロアがなく、商業フロアやエンターテインメント施設、ホテルなどで構成する。永山氏は、噴水をイメージしたガラスのファサードを提案した。全体設計は久米設計と東急設計コンサルタント。2022年竣工予定(資料:東京急行電鉄、東急レクリエーション)
[画像のクリックで拡大表示]

 永山氏の担当はファサードだ。建物の「表皮」だけとはいえ、2022年に完成すれば、歌舞伎町でひときわ目立つ存在になる。責任は重大だ。ここでもリサーチを欠かさなかった。

 歌舞伎町がかつて沼地だったことから、水が湧き出す「噴水」のイメージを思い付く。古代ローマ建築のアーチにも似た、うろこ模様を大きなガラスでつくって下層階を囲む。うろこは水の象徴で、上層階は光の反射で水が跳ね上がったように見せる。

 約225mのビルは、ガラス選びや模様のデザインだけでも相当な知識とパワーが要る。永山氏は噴水のコンセプトを関係者に丁寧に説明。ここでもコーディネーターに徹しつつ、自分はファサードの設計に専念する。

(写真:北山 宏一)
(写真:北山 宏一)
[画像のクリックで拡大表示]

ながやま ゆうこ:1975年東京都生まれ。98年昭和女子大学生活美学科卒業、青木淳建築計画事務所入社。2002年永山祐子建築設計設立。主な受賞歴は、AR Awards(英国)優秀賞、Design Vanguard2012(米国)、JIA新人賞、山梨県建築文化賞、東京建築賞優秀賞など
■変更履歴
ドバイ万博日本館の画像に、一部間違いがありましたので変更しました。