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大小のスケールを身に付ける

 土居氏に影響を受けた1人が百枝氏だ。土居氏は百枝氏の設計手法を「入れ子構造による空間の多重性」と表現する。例えば、「丘の礼拝堂」(2016年)では、立方体の中に、スケールの違う3つの木造架構を積み上げた。「上に行くに従って木材の断面が小さくなる。スケールレスに感じる空間だ」(百枝氏)〔写真1〕。

百枝 優氏
〔写真1〕箱形プランに変化に富んだ木造架構
〔写真1〕箱形プランに変化に富んだ木造架構
百枝優氏の代表作の1つである長崎市内の「丘の礼拝堂」(2016年)。木造でゴシックのような装飾性のある空間を狙った。発注者はメモリード(写真:針金 洋介)
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福岡市博多区に施工中の「桜並木の葬祭場」(19年9月開業予定)。樹木のような架構が並ぶ。発注者はメモリード(写真:百枝優建築設計事務所)
福岡市博多区に施工中の「桜並木の葬祭場」(19年9月開業予定)。樹木のような架構が並ぶ。発注者はメモリード(写真:百枝優建築設計事務所)
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 百枝氏の強みは、大学院時代を横浜国立大学の建築都市スクールY-GSAで過ごしたこと。都市スケールでシナリオをつくったうえで、建築の設計を考える。「九大の小さなキューブからの発想と、Y-GSAの大きなスケールからのアプローチ。実務ではスケールを気にせずに自由に考えられるようになった」(百枝氏)

 隈研吾氏の事務所に勤めた後、2014年に福岡市で独立。最近は、台湾で集合住宅のパブリックスペースの計画も手掛ける。「アジアに近い地の利も踏まえて福岡を選んだ」と、百枝氏は海外にも熱意を示す。