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学生時代から実務で鍛える

 佐々木翔氏は、INTERMEDIA(長崎県島原市)取締役として、代表を務める父の信明氏と協働している。一方、弟の慧氏は、藤本壮介建築設計事務所(東京都江東区)を18年に退所し、事務所を開設したばかりだ。

 ともにINTERMEDIAの仕事を通し、学生時代から実務を経験してきた。翔氏は、大学院2年の夏から1年間休学し、当時の共同設計者だったNKSアーキテクツ(福岡市)に半年ほど詰めて設計に当たった。

 その後、末光弘和氏らが率いるSUEP.(スープ)(東京都世田谷区)に入社、15年に故郷に戻った。SUEP.で学んだプレゼン力で、プロポーザルに複数当選した。1つが「長崎大学医学部ゲストハウス」〔写真2〕。土居氏は翔氏の設計手法を「差異と反復」と言う。同ゲストハウスでは大小の家型を連ね、宿泊と公共空間を共存させた。

佐々木 翔氏
〔写真2〕家型を連続させたゲストハウス
〔写真2〕家型を連続させたゲストハウス
佐々木翔氏が担当した「長崎大学医学部ゲストハウス」。2018年に長崎市内に完成した、主に留学生・研究生が数カ月間滞在するための施設。父の信明氏と協働(写真:INTERMEDIA)
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長崎県諫早市の「基壇の改修」(19年竣工)。段差1.2mの基壇地形を生かし、建設会社の新たな社屋をつくった。父の信明氏と協働(写真:INTERMEDIA)
長崎県諫早市の「基壇の改修」(19年竣工)。段差1.2mの基壇地形を生かし、建設会社の新たな社屋をつくった。父の信明氏と協働(写真:INTERMEDIA)
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 慧氏は、藤本事務所に入る前、長崎市内の「あたご保育園」(16年)などの設計を担当した〔写真3〕。このプロジェクトは、2017年度日本建築士事務所協会連合会建築賞「国土交通大臣賞」を受賞している。

佐々木 慧氏
〔写真3〕地形をなぞるように建物を配置
〔写真3〕地形をなぞるように建物を配置
長崎市内に立つ「あたご保育園」(2016年竣工)。佐々木慧氏がINTERMEDIAとして設計を担当した。長崎市の中心街を見下ろす急傾斜地に位置する。立体的な地形をなぞるように配置することで、等高線がそのまま立ち上がったような空間となっている(写真:INTERMEDIA)
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 まだ独立して間もない慧氏は、藤本事務所のかつての同僚、イルギン・トゥンチ氏と、イタリア・ミラノ工科大のスタジオとの共同研究やワークショップ・レクチャーで協働するなど、海外も見据える。「藤本事務所では、スカイプやメールを使えば、日本にいながら世界のプロジェクトを回せることを学んだ」と慧氏。東京より安く、広い事務所を借りられる福岡を拠点に当面、活動する予定だ。