ホテル分野は、客室の供給超過が起こり、激戦時代に入った。インバウンド獲得という目標の下、ホテルの在り方が変わり始めている。経験を積んだ旅行者の目的は単なる「宿泊」ではなく、充実した「滞在」の時間。近年注目される「ライフスタイル型」の動向などを、国内最新事例と併せて追う。

「個性化」で攻める
旅行者の成熟で「ライフスタイル型」が優勢に
目次
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新型ブランドが市場けん引
日本発のライフスタイル型にも期待
訪日外国人の増加に伴い、国内ホテル市場では世界水準の戦いが起こっている。一方、2020年以降、客室が供給過多となる局面も指摘され始めた。ホテル激戦時代をどう生き抜くか。先進的な動きから将来を見通す。
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個人のセンスで勝負できる醍醐味
米有力ブランド「エディション」「エースホテル」が国内開業間近
世界から注目を集めるライフスタイル型ブランド「エディション」と「エースホテル」の日本初上陸店のデザインを手掛ける隈研吾氏。「むちゃくちゃ面白い」というホテルデザインの真髄とは何か。次世代に模範を示すと語る。
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街に新たな交流を生む中核に
HAMACHO HOTEL TOKYO(東京・日本橋浜町/170室)
伝統的な文化の面影を残す東京・日本橋浜町。エリアの価値を高めるための中核施設として、2月に開業したホテルだ。地元住民やワーカーをはじめ、多様な利用者を受け入れる「サードプレイス」の性格も備えている。
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親密な空間で酒や風呂を楽しむ
TSUKI (東京・築地/31室)
インバウンド向けの個性的なホテルが日本に少ないと考える香港の投資家が東京・築地のポテンシャルに目を向け、デザイン重視のホテルを開業した。日本文化の体験をテーマに、ビジネスホテルの計画を覆して臨んだものだ。
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“五輪の地”の眺望を独占
三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア(東京・神宮外苑/362室)
新国立競技場をはじめ、スポーツ施設や文化施設などが集積する東京・神宮外苑地区。緑豊かなこのエリアの一角で、全室にバルコニーを設けたホテルの建設が進んでいる。五輪後のにぎわい拠点を目指す。
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農と食の体験用に森の建築新設
リゾナーレ那須(栃木・那須町/43室)
星野リゾートの手掛けるホテルブランドのうち、多世代の家族連れやグループでの利用を主なターゲットにした「リゾナーレ」。4つ目となる施設が11月に開業する。体験型リゾートとして、農と食をテーマに選んだ。
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地域経済の循環を生む
伊達美和子氏 森トラスト代表取締役社長
「東京エディション銀座」が、7月に着工した。事業者である森トラストの伊達美和子社長は、ブティックホテルの元祖とされるイアン・シュレーガー氏とマリオットの「最強タッグ」によるブランドだと語る。
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「パーソナライズド」が決め手
ハンス・ハイリガーズ氏 IHG・ANA・ホテルズグループジャパンCEO
1980年代に米国で生まれた「キンプトン」が、2020年初頭に西新宿で開業する。国内でインターコンチネンタル系列のホテルを統括するハンス・ハイリガーズ氏が、ライフスタイル型ホテルの運営の極意を語る。
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投資惜しまず“遊び場”開発
野尻佳孝氏 テイクアンドギヴ・ニーズ代表取締役会長
日本発のライフスタイル型ブランドの先駆けとされる、東京・渋谷の「トランクホテル」。2000年代からホテル事業を温めていたというウエディング産業のイノベーター、野尻佳孝氏は10店舗の展開を構想中だ。
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新しい価値を実物で示す
サポーズデザインオフィス
東京と広島の2つを拠点にするサポーズデザインオフィスが、既存ビルを改修し、同社広島オフィス兼ホテルとする計画を進める。事業の企画から設計、運営までを自社で手掛け、2019年内に開業予定だ。