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日本発のライフスタイル型ブランドの先駆けとされる、東京・渋谷の「トランクホテル」。2000年代からホテル事業を温めていたというウエディング産業のイノベーター、野尻佳孝氏は10店舗の展開を構想中だ。

野尻 佳孝(のじり よしたか)氏
野尻 佳孝(のじり よしたか)氏
1972年生まれ。明治大学卒業後、現・三井住友海上火災保険を経て、98年にハウスウエディング事業を手掛けるテイクアンドギヴ・ニーズ設立。2001年に現・新ジャスダック、06年に東証一部上場、10年に代表取締役会長就任。16年にホテルの企画から運営までを手掛けるトランクを設立し、代表取締役社長に就任)(写真:山田 愼二)

 トランクブランドを立ち上げる際にまず決めたのは、自分たちが最も得意としている分野を見極め、ターゲットを絞るということです。

 僕らのターゲットは、ライフスタイル全般に対する感度が高く、おしゃれが好きで、経験の豊かな富裕層。彼らは1泊10万円、20万円を高い、安いで測るのではなく、体験に見合った金額なら支払ってくれる。そんな層が、数にすると世界にはたくさんいるんです。

 2017年に渋谷で開業した最初の「トランクホテル」は、実績も好調で、平均客室単価は約6万円、稼働率は90%を超えています。宿泊者の90%はインバウンドで、そのうち80%以上が欧米からという点が特徴です。

 ターゲットにマッチする空間にするために、初期投資は惜しみません。渋谷では、坪260万円の建築費をかけています。ビジネスホテルなら半分程度、ラグジュアリーホテルでも200万~220万円に抑えるはずですけれど、素材や家具などは本物にこだわりました。20年から30年で償却するときに、例えば月に30万円余計にかかるとしても、そこを惜しむか否かで仕上がりのクオリティーが全く違うものになってきます。

 トランクホテルの次の展開として、27年までに10店舗を出店します。全て東京です。なぜなら、こんな大都市は世界中を見ても他に例がない。路地が入り組んでいて新旧が共存する、カオスな街だと思っています。渋谷には渋谷の面白い顔があり、渋谷の中に様々な顔がある。六本木も赤坂も、また顔が違う。マンハッタンですら、東京ほど多くの顔は持ち合わせていないですからね。

〔図1〕東京に個別のテーマで10店舗展開へ
〔図1〕東京に個別のテーマで10店舗展開へ
東京・渋谷の「トランクホテル」外観。東京での展開を構想中の新店には、それぞれ異なるテーマを持たせる(資料:トランク)
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 これからのホテル 
大人たちの“遊び場”に

 「TOKYO PLAY」というのが、トランクホテル全体を貫くコンセプトです。要は、「東京を遊ぼう」「東京を遊んじゃえ!」という掛け声ですね。それぞれの街が持っている顔に合わせ、大人たちの“遊び場”をつくる。東京という街全体の価値を高め、世界に発信していく。そんな思いを込めています。

 そのうえで、10店舗のホテルごとに全て違うコンセプトを持たせます。ホテルが果たすべき役割は場所によって変わるはずなので、こうあるべきだ、街とこうつながるべきだと、あまり決めつけてはいけない。まずは街を歩き、地元の方と対話し、その街を理解することです。そこから、何ができるかを考える。答えは1つではないと思います。

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