東京と広島の2つを拠点にするサポーズデザインオフィスが、既存ビルを改修し、同社広島オフィス兼ホテルとする計画を進める。事業の企画から設計、運営までを自社で手掛け、2019年内に開業予定だ。

── 谷尻 誠

── 吉田 愛
谷尻 ホテルと住宅で同じ過ごし方をしていても、なぜかホテルの方が気持ちが高ぶりますよね。それが大きなカギだと思っています。例えば、ホテルのようなサービスのない住宅でも、気持ちの高ぶりをデザインできたら、もっと暮らしは豊かになる。
僕らは常に、新しくて価値があるものを提案したいと思っています。それは、「アトモスフィア(雰囲気)」を含め、実物でプレゼンテーションする以外にない。あくまでも設計事務所として、リアルな体験の場のポートフォリオをつくっている〔図1、2〕。それが根っこです。
吉田 それをピュアに伝えていきたいのなら、もちろん、自分たちで運営するよねと。そのための関連会社の立ち上げも準備を進めています。やると決めた目的のために、足りないものがあれば、つくる。
谷尻 どんなホテルかは、すごくシンプルです。「自分たちが泊まりたい、遊びに行きたいホテル」。
常に心掛けているのは、「良い違和感」。「This is 〇〇」と表現できる単一の関係で満足してしまわないことです。物事は常に隣り合わせであるからこそ、感化されたり成長したりできる。そのためには“混ぜる”しかない。
吉田 例えば客室では、室内空間ながら、露天風呂のような解放感がある。そんな違和感をデザインに取り入れています。