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宿泊の需要も途切れず

 建物の用途別に設計・監理業務売上高の増減率をみると、前期はマイナスだった庁舎や教育・研究施設、福祉施設、生産施設がプラスに転じた(日経アーキテクチュア18年9月13日号「経営動向調査2018 6割超が利益を伸ばす」参照)。中でもスポーツ施設や生産施設は前年度からの伸びが大きい〔図2〕。前期に49.3%増だった宿泊施設も、さらに12.5%増と好調だった。

〔図2〕スポーツ施設、生産施設が好調
〔図2〕スポーツ施設、生産施設が好調
用途別の設計・監理業務売上高を回答した設計事務所の2017年度と18年度それぞれの売上高合計額を比較した増減率。スポーツ施設と生産施設の伸びが目立つ(資料:日経アーキテクチュア)
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 宿泊施設に関しては、東京五輪後も途切れず需要があるとの見方が多い。日建設計の中谷憲一郎執行役員は、「大型再開発事業の一環で、建物の高層階にホテルを整備する動きは引き続きある」とみる。

 国家戦略特区による高さ制限や容積率の緩和などを活用して中心部の再開発を促す「天神ビッグバン」が動き出した福岡市をはじめとして、再開発事業は地方でも盛り上がりをみせている。北陸新幹線の延伸や長崎新幹線の整備が契機となり、福井市や長崎市などでも多くのプロジェクトが出てきている〔図3〕。

〔図3〕地方の再開発に高級ホテル
〔図3〕地方の再開発に高級ホテル
資料は、旧大名小学校跡地活用事業(福岡市)の完成イメージ。右側の建物は久米設計が設計を手掛ける2022年開業予定のオフィスビル。高層階の宿泊施設はマリオット・インターナショナルが運営する(資料:福岡市)
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 インバウンド客を当て込んで、地方に外資系の高級ホテルを誘致する動きも増えている。金沢市には20年に「ハイアット セントリック金沢」と「ハイアット ハウス金沢」が、長崎市には21年に「ヒルトン長崎」がそれぞれ開業予定だ。8月9日にはJR九州が観光地や温泉地で外資系の高級ホテルを開業する計画を明らかにするなど、勢いがみられる。

 18年の訪日外国人観光客は約3119万人。政府は20年に4000万人を目指す方針だ。観光庁によると、日本を何度も訪れる「訪日リピーター」は17年に約1700万人だった。同年の訪日外国人観光客数の6割超を占める。リピーターほど地方を訪れる割合が高い傾向があるから期待は高まる。

 懸念材料は日韓関係の悪化だ。関係悪化が長引き、訪日外国人観光客の2割超を占める韓国からの観光客が減れば、華やかな計画は絵に描いた餅になりかねない。