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顧客ニーズの多様化に伴い、設計事務所に求められる役割は幅広くなっている。従来の設計事務所像からすれば奇異に映るような事業や思い切った戦略が出てきた。先駆者たちは何を目指しているのか、詳しく見ていこう。

 日建設計、三菱地所設計 
テクノロジーを「開発する」側に

 スマートビルにスマートファクトリー、スマートシティー──。IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、ロボティクスのような最新テクノロジーを建築や街づくりに取り入れる動きが活発だ。

 設計事務所の中にも、IT企業などと協業し、最新テクノロジーを「使う側」から「開発する側」になることで、新たなビジネスモデルを生み出そうともくろむプレーヤーが出てきた。

IoT推進室を設置

 2017年にソフトバンクと業務提携を結んでIoTやロボットを活用したスマートビルの開発を進めると発表した日建設計。18年には社内にIoT推進室を設置し、関連ビジネスの展開に向けて本格的に動き出した。ソフトバンクとのスマートビル開発も同推進室を中心に進めている。

 ソフトバンク本社が20年に移転する竹芝地区(東京都港区)が、実証実験の舞台となる。竹芝地区とは、ソフトバンクと東急不動産が最先端技術を街全体で活用するスマートシティーの実現を目指して開発を進める地域だ。

 日建設計とソフトバンクはこのエリアで、人流データや環境データを収集・解析して、地区全体の安全性や利便性の向上、建物の省エネ化を目指す。ソフトバンクがロボットや各種センサーを導入し、そこで得られたデータを活用して、日建設計がソリューションを提供する〔図1〕。

〔図1〕竹芝地区で実証実験を進める
〔図1〕竹芝地区で実証実験を進める
日建設計は、社内にIoT推進室を設置した。ソフトバンクと共同でIoT技術の開発を進めて、スマートシティーやスマートビルの実現を目指す(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 「スマートシティーやスマートビルのコンセプト構築から、導入技術の検討、実現に向けた開発までの一連の流れを請け負うことで、今後の大型再開発にも対応できる」(日建設計の中谷憲一郎執行役員)

中谷 憲一郎(なかたに けんいちろう)
中谷 憲一郎(なかたに けんいちろう)
日建設計執行役員 ソリューショングループプリンシパルIoT担当
(写真:日経アーキテクチュア)

 同社は、ソフトバンクに限らず様々な企業と協力しながら開発に取り組む考えだ。

 最新テクノロジーを建築に取り入れるには、建築設計の在り方も変えていく必要がある。

 例えばロボットの活用。清掃ロボットを導入すれば、人手に頼っていたビル管理の省人化につながるが、ロボットが自らエレベーターに乗れない、ドアを開けられないといった基本的な問題が立ちはだかる。

 「ロボットの能力を最大限に引き出すための空間をどのように設計するかも我々の強みになり得る」(中谷執行役員)