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 日本工営 
海外で120億円を売り上げる伏兵

 人口減少に伴う建築設計市場の縮小は避けられない。国内市場に依存した「一本足打法」への危機感から海外に進出する動きは以前からあるが、一部のスター設計者を除けば、際立った成果を上げている設計事務所は見当たらない。

 海外進出に積極的な日建設計にしても、海外業務の売上高(2018年12月期、単体)は約62億円で、総売上高に占める割合は15%に満たない。三菱地所設計の海外売上高は約26億円(19年3月期、単体)。総売上高に占める割合は約12%だ。

 攻めあぐねる各社を尻目に、海外で建築設計業務の売上高を急速に伸ばしている企業があるのをご存じだろうか。

 土木構造物の設計などを手掛ける日本工営(東京都千代田区)だ。同社の18年6月期連結決算によると、海外の建築設計・監理業務の売上高は実に120億円を超える。

英国の設計事務所を傘下に

 ODA(政府開発援助)業務に強みを持つ建設コンサルタント会社として知られる同社が、海外で建築設計業務に乗り出したのは16年3月のこと。フォスター・アンド・パートナーズに次ぐ英国第2位の建築設計事務所、BDPホールディングスを約163億円で買収したのだ〔図4〕。

〔図4〕国内トップの建設コンサルが英国2位の設計事務所を買収
〔図4〕国内トップの建設コンサルが英国2位の設計事務所を買収
BDPの完全子会社化によって、日本工営は海外建築事業の足掛かりを得た。同社はBDPの他、傘下に黒川紀章建築都市設計事務所を擁する(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 海外の民間市場に参入し、土木と建築をワンストップで提供したいと考える日本工営と、英国以外での売り上げを伸ばしたいともくろむBDPの思惑が一致した。

 日本工営都市空間事業部の下條哲成副事業部長は、「事業領域やエリアがきれいに分かれていた。両社のノウハウやネットワークをうまく共有すれば、互いに成長できると考えた」と話す。

 BDPは日本工営による買収後、総事業費が数千億円規模になるとみられる英国国会議事堂(ウエストミンスター宮殿)の大改修事業と一時移転先の建築設計業務を受注するなど、順調に業績を伸ばしている〔写真1〕。

〔写真1〕ウエストミンスター宮殿大改修の設計業務を受注
〔写真1〕ウエストミンスター宮殿大改修の設計業務を受注
BDPは改修に向けて、図面の整理と条件設定などに取り組んでいる。実際の設計に入るのは2020年以降になりそうだ(写真:日本工営)
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 これに伴い、日本工営が「都市空間事業」と呼ぶグループの建築・都市関連事業は急成長中だ〔図5〕。18年6月期に約130億円だった売上高は、19年6月期には約153億円に。20年6月期は、約188億円まで伸ばす計画だ〔図5〕。

〔図5〕日本工営の都市空間事業は順調に成長
〔図5〕日本工営の都市空間事業は順調に成長
BDPの売り上げが大半を占める。2017年6月期の業績は15カ月分(資料:日本工営の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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