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大手は年間200億円

 この数年の好業績で手元資金が豊富なゼネコンは、研究開発費を大幅に積み増している。大手5社に長谷工コーポレーション、五洋建設、戸田建設、前田建設工業、三井住友建設を加えた10社が18年度に投じた研究開発費(連結)は計714億円。5年前から実に6割近くも急増した(下の図を参照)。

主要建設会社10社の研究開発費の推移
主要建設会社10社の研究開発費の推移
大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店、長谷工コーポレーション、五洋建設、戸田建設、前田建設工業、三井住友建設の2013年度決算と18年度決算について、連結売上高と研究開発費をそれぞれ合計して比較した (資料:各社の有価証券報告書を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 大林組と清水建設、大成建設は現行の中期経営計画で、年間200億円前後を研究開発に振り向けるとしている。バブル崩壊後、00年代を通じて低調だったゼネコンの研究開発が久々に活況を呈している〔図4〕。

〔図4〕上場大手は年間200億円前後を研究開発に投資する
〔図4〕上場大手は年間200億円前後を研究開発に投資する
M&A(合併・買収)や働き方改革に関する投資も研究開発に関係する(資料:各社の中期経営計画を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 各社が掲げるテーマは大きく分けて、「建設業の生産性向上」と「新規事業の創出」の2つ。将来の建設市場の落ち込みと、就業者数の減少などを念頭に、本業を強化しつつ新たな事業の柱を育てる狙いがある。

 例えば前者については、作業用ロボットやBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用して次世代の建築生産システムを構築しようとする動きが目立つ。

 18年度の研究開発費(単体)が約133億円と最も多かった鹿島は同年11月、25年を目標とする「鹿島スマート生産ビジョン」を発表。「作業の半分はロボットと、管理の半分は遠隔で、全てのプロセスをデジタルに」を合言葉に、18項目もの技術の開発や実証に力を入れる〔図5〕。

〔図5〕上位15社のうち13社が2019年度も積み増す
〔図5〕上位15社のうち13社が2019年度も積み増す
日経アーキテクチュアの調査に回答した建設会社の研究開発費(単体)。金額は建築だけでなく土木なども含めた合計額(資料:日経アーキテクチュア)
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 グループに日本ファブテックを擁する清水建設は、BIMを用いて鉄骨(S)造建築物の設計から施工までの一連の流れを効率化する方針だ。

オープンイノベーションに注目

 ゼネコンの研究開発のトレンドは投資額の急増だけではない。

 オープンイノベーション(社外の技術などを取り入れて技術革新を目指す手法)への関心が急速に高まっているのだ。

 ロボットやBIM、AI(人工知能)などを導入したり、建設業の範ちゅうに収まらない新規事業を生み出したりするには、異業種やベンチャー企業などから最新技術や新たな発想を取り入れることが欠かせない。

 次記事「シリコンバレーでベンチャー探索」からは、ベンチャーなどとオープンイノベーションに取り組む企業の最新動向をリポートする。