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新たな研究開発の手法として「オープンイノベーション」が注目を集めている。建設業界でも、ベンチャー企業などとの協業が盛んになってきた。大手建設会社は、シリコンバレーに社員を送って有望な協業先を探している。

 4月19日夕、東京都江東区にある竹中工務店の東京本店に、ベンチャー企業の経営者などが続々と集結していた。「TAKENAKAアクセラレーター」の説明会に参加するためだ。同社の俵谷宗克副社長らは、おそろいのTシャツに身を包み、笑顔で参加者を出迎えた〔図1〕。

〔図1〕オープンイノベーションへの関心が高まっている
〔図1〕オープンイノベーションへの関心が高まっている
日経アーキテクチュアの調査に58社が回答した(資料:日経アーキテクチュア)
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「TAKENAKAアクセラレーター」の説明会での一コマ。大企業のオープンイノベーションを支援する01Booster(東京都港区)と共同で開催した(写真:日経アーキテクチュア)
「TAKENAKAアクセラレーター」の説明会での一コマ。大企業のオープンイノベーションを支援する01Booster(東京都港区)と共同で開催した(写真:日経アーキテクチュア)
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 TAKENAKAアクセラレーターとは、同社と共に新たなビジネスに挑戦したいと考えるベンチャー企業を募る取り組み。140社から応募があった。書類選考を経て9月にもコンテストを実施し、数社を選定。竹中工務店がサポートしながら、2020年2月の発表会までに提案を磨き上げる。内容によっては、同社の新規事業に発展することもあり得る。

 竹中工務店で技術本部長を務める村上陸太執行役員は、「説明会後の懇親会では、多くの参加者と会話が弾み、乾杯のグラスを置いた後は一度も口を付けられないほど盛況だった」と顔をほころばせる。

 堅実な社風の同社が「建設会社らしからぬ」取り組みを始めたのは、社外の技術やアイデアを取り入れて技術革新や新規事業の立ち上げを目指す「オープンイノベーション」を加速させるのが目的だ。

 ロボットやAI(人工知能)のような先端技術を取り入れて生産性を飛躍的に高めたり、新規事業を立ち上げたりするには、超高層ビルのようなビッグプロジェクトを念頭に大学などと材料や工法を磨き上げる従来型の研究開発と異なり、異業種やベンチャーなどとの協業が欠かせない。

 実際、竹中工務店は17年以降、将棋AIで有名なHEROZ(ヒーローズ)(東京都港区)や、健康管理アプリなどを展開するFiNC(フィンク) Technologies(東京都千代田区)に出資してきた〔図2〕。HEROZとは、構造設計業務を支援するAIの開発などを進めている。

〔図2〕竹中工務店はAIベンチャーなどに出資
〔図2〕竹中工務店はAIベンチャーなどに出資
建設業の生産性向上や新規事業の創出に向けて、ベンチャー企業に出資した(資料:竹中工務店への取材や各社の発表資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 オープンイノベーションに力を入れるのは、竹中工務店だけではない。日経アーキテクチュアの調査に回答した建設会社58社の5割弱が「既に取り組んでいる」あるいは「取り組む予定がある」とした。「今後、取り組みたい」との回答も2割超あった。