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シリコンバレーで情報収集

 ベンチャーとの協業の舞台は、国内にとどまらない。先端技術を持つ企業を他社や他業界に先んじて発掘するため、清水建設や竹中工務店、鹿島、大林組はシリコンバレーに社員を駐在させている〔図4〕。

〔図4〕大手建設会社はシリコンバレーでの情報収集を強化
〔図4〕大手建設会社はシリコンバレーでの情報収集を強化
シリコンバレーに進出している大手建設会社の出資先などを示した。ベンチャーキャピタル(VC)への出資は、VCが組成したファンドへの投資を意味している(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 シリコンバレーでは閉鎖的なコミュニティーが幅を利かせており、有益な情報を得るには人脈がものをいう。そこで各社は、ベンチャー投資を生業とするベンチャーキャピタル(VC)などのサポートを得ながら、情報収集や人脈の構築を進めている。

 例えば清水建設は16年、東京とシリコンバレーの双方に拠点を置くDNX Venturesのファンドに最大1000万ドル(約11億円)の投資を決めた。清水建設次世代リサーチセンター所長の平田芳己執行役員は、「収益を上げるのではなく、あくまで情報収集が目的だ」と話す。

 鹿島も18年、VCのWiL(ウィル)が運営するファンドに2500万ドル(約27億円)を投じ、支援を得ながら工事の自動化などに役立つ技術を探している。「社名は明かせないが、良い企業が見つかり始めている」(鹿島の福田孝晴常務)。

 このほか清水建設、鹿島、竹中工務店の3社は、シリコンバレーで企業のオープンイノベーションを支援するPlug and Play(プラグ アンド プレイ)のサポートも得ている。同社を通じてイベントを開催するなど、日本の建設会社のニーズを発信し、米国のベンチャーに関心を持ってもらう活動にも積極的だ。

 プラグアンドプレイで不動産・建設部門のディレクターを務めるマイルズ・タビビアン氏は、「ソフトバンクのファンドが18年に米国の新興建設会社Katerraに8億6500万ドル(約900億円)もの出資を決め、建設分野に関心が集まった。建設業のバックグラウンドがないベンチャーも参入してきている」と語る。